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【電気な雑学】乾電池を発明したのは日本人だった!?

2019.02.15

毎日の生活に欠かせない電気。それこそ街の灯りや電車といった社会のインフラから、身近なところでは冷蔵庫やエアコン、PCにスマートフォンなど、その恩恵はいたるところにあります。

 

スマートフォンの普及により、バッテリーも含めた電池を以前に比べ、さらに頻繁に使っている人も多いのではないでしょうか。中でも、「乾電池」を発明したのって実は日本人だって、知っていましたか?

乾電池

乾電池を発明したのは日本人だった!?

そもそも、乾電池は色々な種類のある電池の一つです。電池自体は、のちに電圧の単位「ボルト」の語源になった、イタリアの物理学者ボルタによって1800年頃に発明されました。

 

ボルタが発明したボルタ電池は、銅と亜鉛を食塩水や希硫酸などの溶液に浸したものでしたが、その約35年後、イギリス人のダニエルがボルタ電池の欠点を改良したダニエル電池を発明。さらに1867年には、フランス人ルクランシェが、今の乾電池と同じく二酸化マンガンを使った電池を発明しました。

 

ですが、いずれの電池も溶液がこぼれるなどの難点がありました。そこで1888年、ドイツのガスナーらが、溶液のこぼれない電池、いわゆる乾電池を発明し、その特許を申請。そのため、世界ではガスナーらが電池の発明者とされています。

 

しかし、それに先立つこと1年、1887年の時点で、日本人の屋井 先蔵(やいさきぞう)の手によって乾電池が発明されていたことは、あまり知られていません。

 

屋井は、長岡藩(現在の新潟県)の出身で、東京で時計職人として働いていました。そして1885年、「連続電池時計」の開発に成功しましたが、時計に使用していた輸入電池には溶液が染み出して金具が腐食するなどの欠点がありました。そこでみずから発明したのが「屋井乾電池」だったのです。

 

1892年には、東京帝国大学理学部がシカゴ万博に出品した地震計に屋井乾電池が使用されていたことから、世界的に注目を浴びることとなりました。

 

ところが、権利関係の知識にうとかった屋井が、みずからの発明した乾電池の特許を出願したのはその翌年のこと。この頃にはすでに、屋井乾電池の模造品がアメリカから逆輸入されていたという点からも、その優れた性能が証明されているといえるのではないでしょうか。

 


地球の雑学書影

 

出典『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
(雑学総研/KADOKAWA)

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