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北陸電力株式会社入社4年目・山田夕美絵さんの1日に密着!

2018.06.13
私たちの暮らしに欠かせないエネルギー。便利な暮らしを支えてくれるエネルギー業界の現場では、女性も重要な戦力として活躍しています。彼女たちがどんな仕事をしているのか、どんな思いを持っているのか、その仕事ぶりにスポットを当てます。プライベートとのギャップにも注目!
 
【今月の密着人】
北陸電力株式会社 富山新港火力発電所発電環境課(運営) 山田夕美絵さん(やまだ・ゆみえ)さん(23歳)
 
富山新港火力発電所で働く山田夕美絵さん。穏やかで落ち着いた雰囲気とクールな話しぶりながら、たまに見せる茶目っ気が印象的
 
富山湾に面した富山新港火力発電所。石炭と石油を燃料とする発電プラントが合わせて4基あり、北陸電力管内の火力発電所で最大出力を誇る。また、2018年秋からはLNG(液化天然ガス)を燃料とする発電プラントが竣工予定。石油と石炭、LNGの3種類の燃料を使う発電所は、世界でも珍しいという。山田夕美絵さんが所属する発電環境課(運営)は、発電プラントの運用・運転管理を行う部署。火力発電所の最前線だ。
 
富山新港火力発電所は北陸電力管内の火力発電所で最大出力を誇る
 
学生時代、機械専攻だった山田さんは富山市出身。地元での就職を希望していた。
 
山田さん「何か大きな仕事に携わりたいという思いがあって入社しました。『どんな仕事?』と聞かれて『電気を作る仕事』と答えられるのって、カッコいいし素敵だなと思います。入社したばかりの頃は、とにかく発電プラントの巨大さに驚きましたね。全てが初めての経験ですから、発電の仕組みから勉強する日々でした。
 
生まれ育った地元で働きたいということ、スケールの大きな仕事への憧れが入社のきっかけとなった
 
北陸電力火力部門で勤務するスタッフは約600名いるが、女性は少なく、山田さんは3人目の技術系女性社員。24時間体制の交替勤務についた女性は山田さんが初めてだ。山田さんの入社を機に女性用の仮眠室が設けられるなど、これまで男性中心だった現場が女性も働きやすい環境に整えられた。夜勤と日勤を繰り返す交替勤務の中で、主に発電設備の巡視点検の業務を担ってきた。
 
山田さん「最初は女性がほとんどいないので戸惑いましたが、男性の先輩たちが『俺たちには何が必要かわからないから、遠慮なく言えよ』と気にかけて下さったので心強かったですね。体力的なことや力仕事などではハンデを感じることもありますが、仕事全般では女性だから大変だとはあまり感じません」
 
燃料を燃やしてボイラー内に蒸気を発生させ、蒸気の力でタービンを回転させて電気をつくるのが火力発電の仕組みだ。巨大なタービンは迫力満点!山田さんも初めて見た時は圧倒されたという
 
石油を燃料とした発電プラントで経験した3年間の交替勤務は、とてもやりがいを感じるものだったという。発電をスタートする前には、約8時間かけて所員それぞれが持ち場で準備作業をする。チームワークと技術力を結集して万全の準備を整え、中央制御室で発電プラントの起動操作をした時「所員みんなが力を合わせて電気を作っている。自分たちはすごいことをしているんだなと、改めて思いました」と山田さん。学生の頃の″大きな仕事に携わりたい“という夢は、充実感とともに形になっていった。
 
スイッチがずらりと並ぶ中央制御室は、24時間体制で発電所の運転を集中管理する場所。指差し確認、復唱は基本中の基本だ。「ここに立つと緊張します」(山田さん)
 
2018年1月からは日勤となり、現在はプラントのデータ確認やシステム入力、共通設備の巡視点検などを行っている。この日、巡視点検に向かう山田さんに同行させてもらった。各設備に異常がないか点検する仕事は、未然にトラブルを防ぎ、電力を安定供給するために重要な業務だ。暑い日も雨の日も関係なく、広い施設内を1時間ほどかけてパトロールする。大雪に見舞われた日は、雪をかき分けながらパトロールするという。「勤務中は日焼け止めを塗るくらいで、ほぼノーメークです。夏は汗だくになりますから」と山田さん。
 
巡視点検には、身を守るためのヘルメットと皮手袋が必須。設備内部の音を聞き取るための聴診棒やバルブを開閉する工具、暗がりやすき間を照らす懐中電灯などを持って点検に出発
 
設備の内部に異常がないかチェックするために、聴診棒とよばれるツールを使う。「潤滑油が足りない時は、キュルキュルと擦れるような音が聞こえます。異常に気付くためには、正常な音や振動をしっかりと知っておくことが大切」。目で見て、手で触れて、音を聞く。五感をフルに活用しながら、発電設備を確実に点検して回るのだ。
 
感覚を研ぎ澄ませて内部に異常がないか探る。新人は1年間先輩の巡視点検に同行し、みっちりと経験を積むのだという
 
現在は、共通設備と呼ばれる発電プラント附属設備を担当し、5カ所ほどの設備で50以上の項目を約1時間かけて点検する。「判断に困った時は、迷わず先輩に指示を仰ぎます。先輩の仕事ぶりを見て、勉強になることは多いですね」(山田さん)
 
棒の先にL字型の金属板が付いたリークチェッカーは、蒸気が漏れていないか確認するためのツール。わずかな蒸気でも金属板がくもり、漏れを知らせてくれる。
 
山田さん「蒸気漏れを見つけたら、先輩たちと設備の系統図を確認しながら修理の手順を検討します。現場ではほんの少しのミスや気の緩みが事故や怪我につながりますから、絶対に確認漏れがないように、ひとつひとつ確実に作業を進めなければなりません」
 
タービンを回して発電に使われた蒸気は、復水器にて海水で冷やされて水に戻る。交替勤務時には、こうした海水を循環させるための大型モーターやポンプの点検も行っていた
 
非常時等に使用する補助ボイラーを点検。いざという時に確実に作動できるよう、普段から点検や整備を怠らない
 
事務所では、同じチームの7人がデスクを並べている。プラントのデータ確認やシステム入力などの業務も、山田さんの重要な仕事だ。
 
山田さん「誤入力や確認漏れは多くの人に影響を与えてしまうので、見落としがないかミスがないか、特に注意して何度も確認します」
 
フレックスタイム制が導入されており、有給休暇もとりやすい。「制度がしっかりしていて、女性だからという特別扱いもなく、とても働きやすい職場です」(山田さん)
 
職場には和気あいあいとした雰囲気が漂い、山田さんが先輩たちから可愛がられていることがよく分かる。山田さんが入社して女性初の交替勤務をスタートした頃は、女性も働きやすい環境を作るために周囲は試行錯誤したようだ。入社4年目となった現在も、性別に関わらず現場で能力を発揮してもらいたいと積極的に取り組む職場の思いを、山田さんはひしひしと感じるという。
 
山田さん「自分自身がもっともっと成長して、周囲から頼られるような人材になりたいと思っています。そのためには今後新しいことにもチャレンジして、知識や経験を積み重ねていかなければなりませんね」
 
山田さんのカバンの中を拝見!メイク用品やハンドクリーム、財布、鏡などのほか、夏は汗をかくので着替えのTシャツを用意することも多いそう
 
山田さんは約50分かけて車で通勤している。仕事を終え、私服に着替えて現れた山田さんは、ヘルメット姿で点検作業をしていた時とはまるで別人のよう。友人との食事など約束がある時は、この後メイクをして出かけたりするそうだが、平日は帰宅してのんびり過ごすことが多いとか。
 
富山県では車通勤が主流。「朝は通勤ラッシュで道路が混むので、余裕を持って自宅を7時に出発します」(山田さん)
 
趣味は旅行。休日に、あちこち旅するのが楽しみだという。
 
山田さん「沖縄でダイビングをしたり、神戸の中華街で食べ歩きしたり。テーマパークが好きなので、次回はディズニーランドかな」
 
沖縄旅行では美しい海を満喫してリフレッシュ!旅先で一番楽しみにしているのが、その土地ならではのグルメだとか
 
ミスの許されない責任ある仕事をやり遂げるには、オンとオフの切り替えが大切。発電の最前線で活躍する山田さんは、仕事もプライベートも充実した日々を送っている。
 
★山田夕美絵さんプロフィール
年齢 
23歳
星座・血液型
さそり座・A型
趣味
旅行
好きな食べ物
からあげ・ラーメン
好きな映画
「トイ・ストーリー」
好きな芸能人
山田孝之