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北海道電力株式会社入社3年目・大内一希さんの1日に密着!

2018.07.06
「エネルギー業界」と聞くと、「身近に感じない」「難しそう」といったイメージを持つ方も少なくないはず。そこで、仕事の内容からやりがい、そして休日の過ごし方まで、リアルな現場の声を徹底リサーチ。密着することで見えてきた、エネルギー業界の“今”を生きる人々の想いとは!?
 
【今月の密着人】
北海道電力株式会社 送配電カンパニー八雲(やくも)ネットワークセンター送電課 大内一希(おおうちかずき)さん(24歳)
 
北海道電力株式会社の八雲ネットワークセンターで送電設備の保守管理を担当している大内一希さん。身長186cmという恵まれた体格を生かし、学生時代は野球部で活躍していたという体育会系
 
 
地元では「ほくでん」の愛称で親しまれている北海道電力株式会社は、広大な北海道全域をカバーする電力会社。2018年4月で入社3年目を迎えた大内一希さんは、送配電カンパニーの八雲ネットワークセンター(以下、八雲NWC)に所属し、送電設備の保守管理等に従事している。
 
 
室蘭市で生まれ、大学卒業まで過ごしたという生粋の道産子。地元愛にあふれる熱血漢だ
 

大内さんがエネルギー業界に興味を持ったのは、2012年11月に北海道南部に位置する胆振・日高(いぶり・ひだか)地方を襲った暴風雪による大停電がきっかけだったという。

大内さん「当時住んでいた室蘭市のほぼ全域を中心に、周辺の5万6000世帯が停電に見舞われました。交通網も麻痺した猛吹雪の中で、ほくでんの社員が電気の復旧に奮闘する姿を見て、『普段は何気なく使っている電気だけど、それを送り届けるために必死に頑張っている人たちがいるんだ』と意識するように。ちょうど大学で電気工学を専攻していたこともあり『就職するなら、ほくでん』と思うようになりました」

 

必要な工具や装備品を積み込んだオフロード車に乗っていざ出発。八雲NWCは海岸線から山岳地帯まで南北に100kmという広大なエリアを管轄する
 
渡島(おしま)半島の中央に位置する八雲町は、太平洋と日本海という2つの海に面し、豊かな自然を誇る。この日の業務は八雲NWCの管轄内に設置された送電鉄塔に昇り、設備の点検・保守を行う「昇塔(しょうとう)点検」だ。
 
車で林道を進めるところまで進み、あとは徒歩で現場へ。片道2時間以上かけて、険しい山の中を歩くことも
 
腰回りに装着する工具には細心の注意を払う。総重量は約10kg。作業は安全第一。鉄塔の上から地上に工具を落下させないよう、ペンチやスパナには落下を防ぐセーフティーコードが付けられている
 
ササヤブが繁茂した山の中に踏み入る

この日の点検作業は3人1組のチームで遂行。リーダーが地上から作業の進捗状況や安全面の確認を担当し、大内さんともう1人の同僚が鉄塔に昇る。双眼鏡を駆使して、目視でチェックしていく。
 
森の中に建つ高さ約60mの鉄塔が点検対象
 
点検作業はチームワークが重要。作業計画書をベースに綿密な打ち合わせを実施する
 
装備を整えたら現場周辺の安全確認を行った上で、作業計画書にのっとり、作業の段取りを詳細に打ち合わせしていく。次に互いに行動目標を挙げ、声に出して唱和。
 
山岳地帯という地理的な厳しさに加えて、高所かつ高電圧の送電線に近付いて作業を行う現場では、何よりも安全の確保に細心の注意を払う。メンバー同士の連携も不可欠だ。
 
大内さん「常にセーフティファーストを心掛けています。安全に作業を進めるために基本ルールを守るのはもちろん、現地の状況をしっかり観察したり、互いに声を掛け合って意思疎通を図ったりすることも大事ですね」 

 

「ハイ!昇りまーす!」と大きな声を掛けると、あっという間に昇っていく大内さん。一瞬たりとも気を抜けない緊張感が常に続く
 
経年劣化によって、鉄塔を構成する部材などの腐食が進行していないかなどを素早くかつ丁寧にチェック。家庭用の電圧は一般的に100~200Vだが、今回の鉄塔に架かる電線の電圧は27万5000V。作業には常に危険が伴う。
 
大内さん「今日の作業では問題ありませんでしたが、強い雨風に見舞われると、足場も電線も揺れるので危険は増します。墜落や感電には万全の対策を立てていますが、それでも細心の注意を払っています」
 
「リス」と呼ばれる専用の昇降用安全器具を鉄塔側のレールに通し、腰の安全帯と連結。安全を確保しながらステップボルトに手足をかけて昇っていく
 
1本目の点検を終えると、すぐさま次の鉄塔へ。1日5、6基は昇るという。次の点検も、高さ60mという巨大な鉄塔が対象。牧草を収穫するための広大な採草地に建っているのが、いかにも北海道らしい。

大内さん「送電設備は地域のお客さまの理解があってこそ存続していける。『ほくでんは対応がしっかりしているね』と言われるように、お客さまとの信頼関係を築いていきたいですね」
 
鉄塔の中ほどを昇っている二人のうち、上にいるのが大内さん
  
目的地点に到達。点検はスピーディーかつ着実に。「異常ナシ!」。安全を確保しつつ、双眼鏡でチェックしていく
 
大内さん「鉄塔に昇るのは、最初はとても怖かったです。電線の上に乗って行う作業もありますし、今でも恐怖感はありますが、危険と隣合わせだからこそ、基本に忠実に、またスピードも意識して業務を遂行しようと心掛けています。『お客さまに電気をしっかり送り届けるんだ』という責任感を持って業務に当たっています」
 
八雲NWCの送電課には現在16人が所属。送電設備の修繕計画の作成や設計業務などのデスクワークもこなしていく
 
こうした「昇塔点検」のほかにも、地上を歩いて送電線の下をたどり、鉄塔の状態等を確認する「巡視」から、修繕計画の作成などのデスクワークまで、実際の業務内容は多岐にわたるという。中でも緊張を強いられるのが「緊急出動」。送電設備の保守にかかわる緊急事態が発生すれば、即座に出動して対応する。

大内さん「八雲NWCのすぐ隣にある独身寮に住んでいるので、呼び出しがかかればすぐに出動できるのがいいところ。冬になると、送電線への着氷や着雪による停電も発生します。昼夜を問わず、さらに極寒の中で作業が続くケースもありますが、現場に出向して事故箇所を発見し、復旧作業に当たっているときは『自分たちが送電設備を守っているんだ』という実感が湧く瞬間ですね」
 
「独身寮は男だけですが、生活ルールなど特にないのに、整理整頓されていて、とてもきれいなんですよ」

学生時代の大内さんのように、きっかけがなければ、なかなか実感する機会が少ない電気の大切さ。今回の密着取材を通じて、大内さんたちが現場で懸命に守りつないでいる送電設備が、私たちの暮らしを根底から支えていることをあらためて実感した。
 
大内さん「電力の安定供給が最優先の送電業務は、やりがいがありますし、同時に責任感も伴います。3年目になり、自分で送電設備点検の作業計画を作成する機会も増えてきましたが、もっとたくさんの経験を積んで、早く先輩たちのような“送電マン”になりたいですね。そして将来的には基幹系送電線(超高圧送電線)の設計業務に携わりたいと思っています。地域の皆さんに『ほくでんなら大丈夫』と太鼓判を押してもらえるような送電設備を建設していきたいですね」
 
「送電設備は俺たちが守る! 今後の夢は基幹系送電線の建設業務に携わることです。がんばります!」
 
ちなみに休日は、購入したばかりの愛車でのドライブやスポーツでリフレッシュしているという大内さん。
 
大内さん「八雲町から函館市街までは車で約1時間半。北海道は食べ物がおいしいし、自然に恵まれているので大好きです。やっぱり北海道は離れたくないですね!」
 
地元愛にあふれる送電マン・大内さんの今後の活躍に期待です!!

 

★大内一希さんプロフィール

年齢 23歳
身長・体重・血液型 186cm・80kg・A型
趣味 スポーツ全般・ドライブ・釣り・音楽鑑賞
好きな食べ物 二海(ふたみ)カレー・そば・中華料理・ケーキ
好きなアーティスト Superfly・GLAY
好きな芸能人 波瑠