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温泉街がデジタル化? 日本三大名泉・下呂温泉が目指すサステナブルな旅行

2022.04.04

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「電力会社」と聞いて思い浮かぶのは、「電気を作り、届ける」こと。でも実は、地域の発展のため、環境のためなど、他にもさまざまな活動をしているのをご存じでしょうか。2021年9月、岐阜・下呂温泉でIT化を進めるプロジェクトの発表がありました。これに協力しているのが中部電力ミライズです。温泉街をどうやってデジタル化するの? と思いますが、実はこれからの温泉旅行をもっと面白くしてくれそうなんです!


花火にスイーツ、ジビエまで。どんどん面白くなる下呂温泉

 

ひと浴びすれば、ツルツルに! お肌に優しく、恋にまで効く(?)といわれる日本三大名泉の一つ「下呂温泉」。

飛騨川のせせらぎを聞きながら温泉につかり、夜は飛騨牛をジュワーっと。温泉とおいしいごはんで、日頃の疲れはどこへやら。

旅行会社など旅のプロが選ぶ「にっぽんの温泉100選(2021年)」で2位に選ばれるなど、古くから愛されてきた人気スポットです。

 

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街の玄関口となるのはJR下呂駅。駅から降りると山里と温泉街が調和した情緒あふれる風景が広がる

 

この数年で、実は下呂温泉がいろいろと変わっているのをご存じでしょうか。

温泉街の各所にできた「食べ歩きスイーツ店」、冬場の毎週末に打ち上げられる「プチ花火大会」、町全体でスタンプラリーができる「ナビアプリ」など、とにかく訪れた観光客を楽しませようと、毎年毎年新しいことを始めてきました。


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プリンやパフェなど、温泉街で19種類の食べ歩きスイーツが楽しめる 提供:一般社団法人 下呂温泉観光協会

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秋から冬にかけて、毎週土曜に花火大会を開催(※画像はイメージ) 提供:一般社団法人 下呂温泉観光協会

 

さらに2020年には、下呂市をはじめとした近隣エリアから、観光資源になりそうな“宝物”をぜーんぶ集めて、面白くてエコな自然体験を発掘。

そうした体験スポットをまとめた観光サイトも、2022年3月にオープンしたばかりです。

 

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下呂市と周辺の体験メニューを網羅した新しい観光サイト 提供:一般社団法人 下呂温泉観光協会

 

2022年からは、シカ肉やイノシシ肉といった「ジビエ」も取り入れていくのだとか。

高たんぱく&低脂質なジビエとお肌をツルツルにする温泉が一緒に楽しめるとなれば、さらに女性に優しい温泉地になりそうです。

 

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ジビエを観光メニューにしていこうと計画中(※画像はイメージ)

 

そんな日本を代表する温泉地が今、なぜかめちゃくちゃ「デジタル化」に本気になっています。

 

温泉街がデジタル化すると面白いワケ

 

「デジタル化ってWEBサイトとかアプリのこと?」と思ったら大間違い。下呂温泉の本気度は、そんなものではありません。主役は、スマートフォンでよく聞くあの「5G」。

簡単にいうと、「5G」は通信規格の最新版で、大容量データでもスピーディにやり取りできるというもの。重たい映像でスマホが固まる、なんてことは起きなくなります。

今回のプロジェクトは、この5Gを街中に広げ、オンラインでいろいろとできるようにしようというものです。

 

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5Gで山間部にある温泉街が高速通信でつながるように

 

まず、2022年にスタートを予定しているのが「VR観光体験」です。

VR(バーチャルリアリティー。仮想空間)の中に、下呂市内各地の風景を作り、四季折々の風情やお祭りが疑似体験できるように。

例えば春に旅行したら、普通は夏秋冬にしか見れないものは観光できないですよね?

でもVRの中なら、夏祭りや雪景色などを仮想空間の中で体験できるようになるんです。

 

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VR観光体験ができるようになる観光交流センター「湯めぐり館」は2022年4月1日にオープンしたばかり 提供:一般社団法人 下呂温泉観光協会

 

下呂温泉に5Gが広がると、もっとすごいことも。

温泉旅館やホテルでよく見る「ゲームセンター」。子どもの頃に楽しみにしていた人も多いはずです。

今はスマートフォンでゲームもやる子どもが増え、人気に陰りが…とも言われていますが、ここに5Gを入れるとどうなるでしょうか。

例えば、「3D金魚すくい」みたいなゲームを作り、すべての旅館やホテルに設置すれば、リアルタイムでホテル対抗戦やランキングを出すなんてことができるようになります。

コロナ禍で全国的にお祭りを開催できない今、5Gと宿泊施設をうまく組み合わせると、温泉街を舞台にした「デジタル縁日」を生み出せるかもしれません。

まだアイデアレベルの話なので、実際に行われるかどうかはわかりませんが、最新技術を使っているのに、とっても昔ながらの温泉街っぽいですよね。

 

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3カ所の温泉施設をめぐれる「湯名人 湯めぐり手形」(1300円)。これもデジタル手形になるかも?

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街の各所にあるカエルのモチーフ。デジタル化したら、いろいろと活躍しそうです

 

最新テクノロジーが支える古きよき温泉街の魅力

 

下呂温泉をはじめ、市内・隣市町村まで一緒に盛り上げていこうとしているこのプロジェクト。当然、下呂温泉の力だけではできるものではありません。

2021年9月に下呂市と下呂温泉観光協会、NTTドコモ、そして中部電力の子会社である中部電力ミライズの4者で「下呂未来創造プロジェクト」の連携協定を結び、実現に向けて進めています。

新しい観光を生み出すことに加え、下呂市民の健康や安全を守るなど、観光客と住民の双方を見て、下呂市をサステナブルな地域にすることを目指しています。

 

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コロナ禍の今、5G通信で自宅からオンライン旅行ができるようになるかも

 

中部電力ミライズの中川輝秋さんと竹志田憧太さんは、下呂未来創造プロジェクトにかける強い想いを教えてくれました。

「未来の下呂温泉を目指していますが、昔の下呂温泉のイメージがすごくあるんです。浴衣で歩いて、みんなで楽しんでいる姿。どんどん観光に求めることが変わりつつあっても、それでも温泉にはたくさんの人が集まってきます。観光客が笑顔になれば、地元の市民も笑顔になる。そんな下呂温泉を維持していきたいです」(中川さん)

 

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中部電力ミライズの中川さん

 

「皆さまに電気を安定的にお届けすることをはじめ、こうした町づくりに参加できるのは、とてもうれしいです。中部電力は、ずっと地域と共に歩んできました。これからも下呂市の発展に役に立っていきたいです」(竹志田さん)

 

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中部電力ミライズの竹志田さん

 

プロジェクトをリードする下呂温泉観光協会の会長・瀧 康洋さんは、「地域を盛り上げるために下呂温泉でずっと続けてきたこと。それをさらに広げ伸ばそうと、皆さんと力を合わせています。小さな商店が輝ける街に、そして街の個性を残していくために。地道にやっていきたいです」と、期待を込めています。

 

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プロジェクト全体の中核を担う下呂温泉観光協会の瀧会長(中央)。先述の「にっぽんの温泉100選(2021年)」では、下呂温泉未来創造プロジェクトなどの取り組みが評価され「実行委員会特別賞」を受賞した

 

浴衣&下駄姿で食べ歩きをして、ちょっと疲れたら足湯でほっこり。旅行や観光の考え方が変わってきても、温泉街にある古きよき“映える”シーンは今も変わりません。

今の時代に合わせてそれをこれからも続けられるように、新しいテクノロジーで支えていく。観光地として盛り上がっていけば、将来的には住みたくなる人も出てくるかもしれません。

 

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下呂温泉の魅力を通信と電力が支えると、これまでになかった旅行のカタチが生まれるかも

 

下呂温泉が目指しているのは、そんなサステナブルな温泉地です。

10年後、50年後も、今と変わらず私たちが“温泉さんぽ”を楽しめるように、下呂温泉のこれからに期待したいですね。

 


■DATA

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下呂温泉観光協会
住所:岐阜県下呂市森922-6
TEL:0576-24-1000
休み:不定休(12月30日~1月2日は休み)

https://www.gero-spa.com/

中部電力ミライズ
https://miraiz.chuden.co.jp/

下呂未来創造プロジェクト
※2021年9月6日プレスリリース
https://miraiz.chuden.co.jp/info/press/1206836_1938.html

<貢献する主なSDGsの目標>
SDGsSDGs

■電気事業連合会
SDGsの達成に向けた地域共生の取り組み