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サンゴを守りたい。美しいサンゴの海を未来につなげたい。沖縄電力ができること

2022.08.30

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「電力会社」と聞いて思い浮かぶのは、「電気を作り、届ける」こと。でも実は、地域の発展のため、環境のためなど、他にもさまざまな活動をしているのをご存じでしょうか。地元の海を守ろうと、沖縄県恩納村(おんなそん)で長年続く「チーム美(ちゅ)らサンゴ」というプロジェクトがあります。このプロジェクトに立ち上げ当初から携わっているのが沖縄電力。県内外の企業や漁協など地元関係者と共にサンゴの保全に取り組み続けています!


サンゴを植え付け、かつての水中景観を取り戻したい

沖縄県本島の西海岸。その中央部に位置するのが恩納村です。

青い海と空がどこまでも続く海岸沿いには、万座ビーチやナビービーチなど多くのビーチが点在。水平線にゆっくりと消えていくサンセットがのぞめるなど、昔からリゾートエリアとしてにぎわってきました。

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チーム美らサンゴマップ
名勝地・万座毛がある恩納村で「チーム美らサンゴ」は活動している

そんな恩納村の美しい海を活動エリアとし、2004年、「チーム美らサンゴ」が結成されました。

沖縄の海では近年、オニヒトデの食害や赤土の流出、海水温の上昇に伴う白化現象によりサンゴが激減しています。

「自分たちの手でサンゴを植え付け、かつての水中景観を取り戻したい」

この想いを一つに、沖縄電力を含めた県内外9社の企業が集い、恩納村漁業協同組合など地元関係者の協力のもと、サンゴ苗の植え付けプログラムや啓発イベントなどのサンゴ保全の取り組みを開始しました。

恩納村・沖縄県・環境省の後援も得て、現在では県内外17社が協力して運営し、美ら海を大切にする心を広めるよう活動を続けています。

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プログラムの中でスノーケリングなどさまざまな体験ができる

これまで一年に5回ほど恩納村でサンゴ苗の植え付け体験イベントを開催し、2020年にはなんと累計1万5000本を達成しました。

さらに盛り上げていこうとした矢先に、新型コロナウイルス感染症が拡大し、一昨年、昨年はほとんどのイベントが中止に。

悔しい思いをした2年間でしたが、今年は無事、第1回イベントから開催できる状況になりました。

 

ボランティアダイバーがサンゴを植える海

「チーム美らサンゴ」は、チーム企業や地元の人たちだけが参加する取り組みではなく、広く全国から一般の参加者を募って、みんなで海を守ろうというプロジェクトです。なので、予約をすることで誰でも参加が可能です。

体験イベント当日、まずはサンゴのレクチャーから始まります。

「サンゴは動物か? 植物か?」「クラゲとウニ、どちらに近いか?」といったクイズ形式などで、サンゴの生態や役割、サンゴ礁の現状など、さまざまな視点からサンゴのことをわかりやすく教えてくれます。

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イベントプログラムにおけるサンゴのレクチャー。ちなみに、前述クイズの答えは「動物」「クラゲ」

その後は、サンゴの養殖場見学、サンゴの観察ダイビング、サンゴ苗の植え付けダイビングと続き、朝から夕方までたっぷりサンゴに触れられる一日となります。

ただ、サンゴ苗を植え付ける場所は水深5メートルほどの岩礁エリア。参加資格として、ダイビングライセンスが必須になります。

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ボランティアダイバーがサンゴ苗を植え付ける(提供:沖縄ダイビングサービスLagoon)

「ライセンスなんて持ってない!」と、諦めなくても大丈夫です。ノンダイバー用のプログラムもあります。

植え付け体験はできませんが、グラスボートで海中散歩したり、サンゴ苗を作ったり、スノーケリングでダイバーたちがサンゴ苗を植え付ける姿を見学したり。

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グラスボートで海中探索

“環境保全活動”と重く受け止めずに、レジャーを満喫しながら、海を守ることにつながる素敵な一日が待っています。

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作ったサンゴ苗は、数カ月間育ててから植え付けへ

ダイバーでもノンダイバーでも、とても楽しい体験が待っているのは間違いありませんが、海の環境を守るために、なぜサンゴ苗を植え付け始めたのでしょうか。

それはサンゴが「生物多様性」の宝庫だから。地球の70%を占める海の中で、サンゴがあるのは海洋面積全体の0.2%程度です。実はこの0.2%の中に、海の生き物の25%が暮らしていると言われています。

つまり、サンゴは4分の1もの海洋生物の命を支える基盤になっているんです。

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ノンダイバーでもスノーケリングで観察可能

そんな海の生態系と密接な関係にあるサンゴの身に事件が起きました。

1998年、世界中で大規模なサンゴの「白化現象」が発生。海水温が高くなりすぎることなどが要因で起こる、サンゴが白くなり弱ってしまう現象です。

このとき、世界中のサンゴの90%が死んでしまったとされています。もちろん沖縄の海も例外ではありません。

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恩納村漁協の創意工夫! 海の中にパイプを立て、その上でサンゴを養殖

海の生き物の25%が暮らすサンゴがなくなったらどうなるのか……。生物多様性の宝庫を守るため、また、海洋生物、その恵みを与える漁業、さらには沖縄の観光資源を守るために、サンゴをなくすわけにはいきません。

さらに、サンゴは自然の防波堤の役割もある上、二酸化炭素を吸収する、製薬の原料として医療の発展に貢献できる可能性があるなど、幅広く人の暮らしに関わっています。

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サンゴ苗を植え付けることの価値は大きい

そんなサンゴの大切さを知っているからこそ、チーム美らサンゴでは、参画企業と恩納村漁業協同組合などの地元関係者と全国からの参加者が協力し、サンゴ保全活動に取り組み続けているのです。

ちなみに、チーム美らサンゴを後援する恩納村は、2018年に“世界一サンゴにやさしい村”を目指ざすとして「サンゴの村」を宣言しました。村では大切なサンゴを守る取り組みがさまざまな形で行われています。
 

チーム美らサンゴに込められた海人の想い

こうして20年近くの活動を続けてきた「チーム美らサンゴ」。その背景には、地元の海人(うみんちゅ)さんの強い想いがありました。

「子どもや孫の世代まで美しい海と地球を守るため、今の私たちができることを」

研究者や企業がリードするサンゴの保全活動は、沖縄県各地で同じように行われています。ただ、恩納村におけるサンゴ保全活動のように漁業者の想いからスタートしたものは、他に類を見ないそうです。

恩納村漁業協同組合の仲村英樹さんは、「サンゴの植え付けは、養殖したサンゴの断片を苗として育成し、海底に植え付けるもの。始めた当時は方法が確立されておらず冒険的な要素もありましたが、今では、養殖はサンゴ種苗施設を整備し、植え付けはチーム美らサンゴの活動によって現在の形となり、成功したものと考えています。沖縄電力さんもチーム発足当時から参画しており、これからも協力して進められれば、さらに魅力ある活動になると感じています」と、現在に至った経緯を振り返ります。

恩納村漁業協同組合の仲村さん
恩納村漁業協同組合の仲村さん

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サンゴ種苗施設。チーム美らサンゴの活動に協力する海人さんがモズクの養殖場をサンゴのために改装した

「チーム美らサンゴ」結成当初から、その想いに共感して沖縄電力も参画し続けています。現在、チームの幹事社としてイベント開催をサポートするカーボンニュートラル推進本部 環境部の立野正美さんが、サンゴの再生にかける想いを教えてくれました。

「過去2年間は、新型コロナ感染症拡大の影響もあり、イベント中止の連絡ばかりでつらかったです。今年は、無事に第1回目のイベントが開催できて本当にうれしかったです。『地域とともに、地域のために』が当社のスローガン。『チーム美らサンゴ』は、それを実現できるプロジェクトです。将来的に、サンゴを植え付ける必要もなくなるような、地域の海が自然の状態に戻ることが理想です。これからも『美ら海を大切にする心』がもっと広まればと思いながらこの活動に取り組んでいきます」

沖縄電力の立野さん
「今年はすべてのイベントを開催したいです!」と笑顔の沖縄電力の立野さん

世界で同時に起きた白化現象から20年以上が経ち、現在では恩納村海域の天然のサンゴは回復傾向にあるそうです。

それでも、観光客が一カ所に集まりすぎてしまう「オーバーツーリズム」や天敵となる「オニヒトデの増加」、開発などに起因する「赤土の流出」、さらには近年世界中で社会課題とされている「海洋プラスチックごみ」など、サンゴの生態を脅かす問題はとめどなくあふれています。

気候変動やSDGsを機に、環境保全への意識はどんどん高まってきました。ただ、それを行動に移すことは簡単ではありません。

チーム美らサンゴ2022年秋の植え付けイベントの開催は、9月17日(土)、10月5日(水)、10月22日(土)、11月5日(土)の4回を予定(※)。

海のレジャーも満喫しながら、サンゴのこと、海のこと、地球の未来ことを考えられる恩納村に足を運んでみては。

※チーム美らサンゴの植え付けイベントは春と秋に行われ、参加予約は、春が3月頃、秋が7月頃に開始されます。詳しくはチーム美らサンゴHPをご覧ください。

 


■DATA

チーム美らサンゴ
チーム美らサンゴ
https://www.tyurasango.com/

恩納村
https://www.vill.onna.okinawa.jp/

沖縄電力
https://www.okiden.co.jp/

<貢献する主なSDGsの目標>

SDGsSDGs

■電気事業連合会
SDGsの達成に向けた地域共生の取り組み