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地元の子どもたちに新たな発見を! 九州電力の「ドローン教室」が教えてくれたこと

2022.04.08

九州電力 九電ドローンサービス下川光志郎01

【今月の密着人】九州電力株式会社 福岡支店 企画・総務部 通信ソリューショングループ 下川光志郎(34歳)

九州電力が2021年冬、地域の小学生に向けた「ドローン操縦プログラミング体験授業」を初めて開講しました。ドローンを使った授業で、子どもたちにどんなことを伝えたのでしょうか。同教室で“先生”を担当した九州電力 下川光志郞さんに、仕事への想いや授業で得た気づきを聞きました。


電力会社社員が小学校でドローン先生に?

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遠隔操作で自由に空を飛び、動画撮影や荷物を運ぶなどさまざまなシーンで活躍するドローン。電力業界では、電線や鉄塔など高所にある設備を点検する際に、近年ではドローンが幅広く利用されています。

今回の主人公、下川光志郞さんの所属チームが運営する「九電ドローンサービス」は、そんなドローンを使って測量や空中撮影を行う九州電力の新規事業の一つです。

下川さん「電力設備の保守・点検のために利用してきたドローンのノウハウを、社外向けのソリューションサービスとして地域に還元する。それが九電ドローンサービス発足のきっかけです。施設などのPR用に空中から動画を撮影したり、広大な敷地を測量したり、さらには農薬の散布などドローンを使ったさまざまなことを手掛けています」

ある日、九電ドローンサービスにいつもとはちょっと違う依頼が舞い込んできました。依頼主は、福岡県朝倉市のあさくら観光協会。

下川さん「企業が持つノウハウやスキルを地域の学生に還元していく取り組みの中で、『小学生に向けた体験授業をやってほしい』というものでした。私たちが普段の仕事で培った技術が、地域の子どもたちのためになるのならとうれしくなりましたね。何をしようか考えた末、『ドローンの自動操縦』をする授業にしたんです」

 

「給食の時間までやりたい!」ドローン教室、大成功

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「ドローン操縦プログラミング体験授業」が開催されたのは2021年12月14日。舞台となる朝倉市立秋月小学校の体育館に、6年生30名が集まりました。

授業の内容は、あらかじめ動きをプログラミングしたドローンを、スタート地点から空中に設置された2つのフープをくぐらせ、ゴール地点に着陸させるというもの。シンプルですが、これがけっこう難しいそうです。

下川さん「まずはコースをメジャーで計測してもらって、移動させたい長さや高さを決めたら、タブレット端末のドローン操縦アプリの中でプログラミングをしていくんです。『何メートル直進した後、右に何センチ移動する』といった具合にパズルを組み立てるようになっていて、計測とプログラミングが正しくできていないとドローンはまったく違う方向へ飛んでいってしまうんですよ」

残念ながら本番ではゴールまでたどり着いたチームはありませんでしたが、調整を繰り返して挑戦したチームのドローンがフープを1つくぐれた瞬間、体育館に歓声が響き渡りました。

下川さん「授業は本当に大好評で手応えを感じました。『給食の時間までやりたい!』と子どもたちが言ってくれて、予定時間を延長したほどです。計測やプログラミングなどの作業に集中しながら、『楽しいな』と一人でつぶやいていた子が、とても印象に残っています」

体験授業を依頼したあさくら観光協会の事務局長・里川径一(さとがわ・みちひと)さんは、「小学校のプログラミング授業では、シミュレーションはできても、実際にリアルな体験までさせるのはなかなか難しいようです。今回の取り組みは、たくさんの先生方から関心を集めています」と、ドローン教室の成功に大満足。今後の広がりにも期待を寄せています。

下川さん「ドローン教室も、私たちのノウハウを地域に還元する方法の一つだと思っています。子どもたちの将来に何か少しでも役に立ったらいいですね。今後も機会があれば、ぜひ続けていきたいです」

 

ドローン操縦&測量のノウハウで地域の人に喜んでほしい

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ドローンを使った空中撮影から動画編集までを手掛ける下川さんは、2019年の九電ドローンサービス発足当初、自ら志願してこの仕事に携わることになりました。

下川さん「昔からカメラや音響機材などの機械が好きで、大人になってからは風景の写真や動画を趣味で撮影していました。その経験が生きると思いましたし、何より好きなことが仕事にできる。さらに、地域にも貢献できるなんて、とても素晴らしいと思ったんです」

ドローンは単に映像を撮影するだけでなく、地形などを精緻に測量することもできます。ある仕事では、その地域にとって重要な歴史をひも解くきっかけとなったことも。

下川さん「過去に私の上長が担当した測量で、福岡県最西端にある小呂島(おろのしま)で日本最古の前方後円墳の可能性がある古墳を見つけたことがあったんです。さらに、佐賀県の名護屋城で昔の武将が歩いていた道かもしれないくぼみを発見することも。すごいですよね。ドローンで測量すれば、新しい発見ができます。これもまた、地域の方々への還元になるはずです」

将来は測量の仕事にも携われるよう、測量士補という国家資格の取得を目指して猛勉強中。もともと機械好きなこともありますが、下川さんの大きなモチベーションとなっているのが作った映像を届ける相手の存在です。

下川さん「仕事をしていて一番うれしいこと、それは完成した動画を見たお客様が喜んでくれた瞬間です。ドローン教室は、プログラミングで実際に動くことを体験してもらい、子どもたちの学びや発見になればと考えましたが、本当に楽しそうな姿を見ていたら、なんだか私の方がもらったものが多かったかもしれません。今後は、ますますお客様に喜んでいただけるよう、撮影や動画編集、測量に至るまで、さらに自分のスキルを磨いていきます。そして、ドローンで解決できることもそうでないことも、地域の皆さんの困りごとなら、何でも解決できるようになりたいです」

 

九州電力 九電ドローンサービス下川光志郎05

九電ドローンサービスと朝倉市立秋月小学校01

九電ドローンサービスと朝倉市立秋月小学校02


■あさくら観光協会
https://amagiasakura.net/

■九電ドローンサービス
https://www.kyuden-drone.jp/

■九州電力
https://www.kyuden.co.jp/

<貢献する主なSDGsの目標>
SDG4SDG9

■電気事業連合会
SDGsの達成に向けた地域共生の取り組み