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電気料金が上がったのはなんで? 電気料金の仕組みや値上げの背景などを専門家に聞いてみた(前編)

2023.11.22

玄海原子力発電所

日本を取りまくエネルギーの今を伝えるべく、Concent編集部きっての好奇心旺盛なCon(コン)ちゃんが突撃取材! 第29回のテーマは「電気料金の値上げ」。いろいろなものの価格が上がる中、2023年6月1日に電気料金も値上げされた。一方で、家庭や企業などの負担緩和のため2024年5月まで電気料金が値引きされることに。「それってどういうこと?」と疑問に思ったConちゃんが、電気料金の仕組みや値上げの背景などを専門家に聞いてきました!

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Conちゃん、規制料金と自由料金の違いを知る

6月1日から大手電力会社の「規制料金」が値上げとなった。電気料金が値上げされるというニュースはよく目にしていたけど、よく見ると「規制料金」の値上げとある。

そもそも「規制料金」って何? なんで値上げが必要だったの?ということで、今回はエネルギーの専門家に話を聞きました。

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松尾先生は、合同会社エネルギー経済社会研究所の代表取締役。国内外のエネルギーに関する調査研究をするほか、大手企業のコンサルティングなどを実施しているエネルギーのエキスパートだ。

Conちゃん

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松尾「簡単に言うと、電気料金には『規制料金』と『自由料金』の大きく2種類があるんだ。電力会社の判断だけで料金を決めることができる『自由料金』に対して、『規制料金』は国の認可が必要で、電力の全面自由化前からある料金のことを指しているんだよ」

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松尾「もし、競争環境が十分に整っていない状態で自由化を進めてしまって、大手電力と自由化を機に新しく参入した新電力とでフェアな競争ができなかったらよくないよね。だから、競争環境がちゃんと整うまでは規制料金を残しましょうということになったんだ」

玄海原子力発電所03

松尾「実は、都市ガスにも似たような仕組みが元々あったんだけど、一定の競争環境が実現されたということで規制料金は撤廃されたんだ。電気についても、さらに自由化が進展して、条件がそろえば撤廃される予定だよ」

 

Conちゃん、値上げの理由を聞く

Conちゃん

松尾「火力発電に必要な天然ガス(LNG)や石炭などは、海外からそのほとんどを輸入しているんだけど、ロシアによるウクライナ軍事侵攻の前後くらいから、価格が少しずつ上がりはじめて、これまでにないくらい上昇したんだ。LNGだけでなく、比較的価格が安定していた石炭まで上昇して、エネルギー産業に多大な影響をおよぼしたんだよ。日本では、東日本大震災後にすべての原子力発電所が稼働を停止したよね。その後、少しずつ再稼働しているし、太陽光や風力といった燃料を必要としない再生可能エネルギーの導入・拡大も進んできているけど、まだまだ必要な電力の多くを火力発電でカバーしている状況だから影響を受けたんだよ」

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松尾「詳しく説明すると、元々規制料金には燃料価格がある一定の基準以上に上昇すると電気料金が上がって、逆に燃料価格が下がれば電気料金が下がる仕組みがあるんだ。毎月、ニュースなんかで耳にする『○月は値上がり(値下がり)します』は、この仕組みに基づくものだよ。ただ、規制料金は、上乗せできる金額の上限が設定されているので、これを上回る分は電力会社が負担する必要がある。つまり、燃料価格が高騰している状況がこのまま続くと、電力会社の負担が増え過ぎて、経営に大きな影響を与えることになるため、電力会社はこの基準となる価格を見直したんだ」

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松尾「自由料金にも燃料価格の変動を反映する仕組みを採用しているケースがあるけど、自由料金は上限を設定する必要がないので、ある意味、青天井のような状態。元々電力自由化の目的の一つは、電気料金の最大限の抑制だったけど、最近では、燃料価格が高騰している影響もあって、規制料金より高くなっているメニューもあるんだよ」

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松尾「電力会社が申請した内容に関して、国の専門会合や公聴会などにおいて、無駄なコストがかかっていないか、より効率化できるのではないかといった視点で、いろいろな厳しい審査を受けた上で、当初の申請に比べ一定の圧縮がなされたんだよ」

<各事業者の申請概要及び査定結果>

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※2023年5月17日 第45回料金制度専門会合資料より抜粋

 

Conちゃん、値上げしなかった理由が気になる

Conちゃん

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松尾「一つは、原子力発電所の再稼働状況。そしてもう一つは再生可能エネルギーの導入状況の違いが大きな理由だね。例えば、今回、値上げをしなかった電力会社のうち、関西電力と九州電力は、他の大手電力7社と比べて、原子力発電所の再稼働が比較的進んでいるんだ」

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松尾「例えば、九州電力では4基の原子力発電所がすべて稼働していたし、関西電力も今年の秋までにすべて動く見込みが立っていた(2023年9月時点で7基すべてが再稼働済)。また、九州電力では再生可能エネルギーの導入も非常に多い。つまり、今回のような燃料価格の変動の影響をあまり受けなくてすむ事業環境が実現できていたから、値上げはしなかったということなんだよ」

玄海原子力発電所09

電気料金の値上げについて、その背景も含めて知ったConちゃん。一般的な商品と同じように、原材料である燃料の価格が値上がりした影響で、販売価格が値上げされるのは仕方がないかなと思うけど、なぜ日本は火力発電に依存しているのか、どうすれば今後、値上げしないで済むのか、次回後編でConちゃんがリポートします!

>後編に続く


取材協力:松尾豪

合同会社エネルギー経済社会研究所代表取締役。学生起業への参画などを経て、2012年イーレックス株式会社入社。営業部、経営企画部に在籍。アビームコンサルティング株式会社で国内外電力市場・制度の調査・事業者支援を担当した後、2019年株式会社ディー・エヌ・エー入社。引き続き国内外電力市場・制度の調査を担当したほか、分散電源事業開発に携わった。2021年3月より現職。CIGRE会員、電気学会正員、公益事業学会会員、エネルギー・資源学会会員。

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