「光の設計士」に聞く!“暮らしのあかり”を最高に満喫する方法

2021.04.19

日常生活の中にあって、あまり意識したことのない電気。

でも実は、暮らしを成り立たせているのは全て“あかり“の存在なのです。

街、家、ホテル、イベントなど広く「光の設計」を手がける村角千亜希さんによる、“暮らしのあかり”を最高に満喫する方法をお届けします。

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コロナ禍で、リモートワークや外出の自粛があり、自宅で過ごす時間が大きく増え、

ますます家のあかりが大切と感じるようになりました。

丁寧に “あかりをデザイン”し、暮らしをもっと豊かにしたいと、興味を持った方も多いのではないでしょうか?

 

また、地球環境、災害、エネルギー問題も心配な世の中です。

使いたいだけエネルギーを使う時代はもう終わりました。

真に美しいあかりとは。

エネルギーのつくり方から考え、自然光もいっしょに考えられたらいいですね。

 

今こそ、心が満たされる暮らしのあかりをゆっくり考えてみませんか?


撮影:水谷綾子

 

リモートワークの照明のポイント

いざ家で仕事をしようと思ったら、、、

ダイニングテーブルのあかりが電球色でオレンジっぽくてぼんわりしてしまう。

子供の家庭学習の時間が増え少し暗いかも?

など家のあかりで思い悩んでいる方の意見を耳にするようになりました。

 

昼の作業に合う照明は次の2つのあかりをプラスするのがポイントです。

・色温度が高い4000K程度の白っぽい光をプラスする(調光機能付がおすすめ)

・間接照明、手元スタンド、など照度をプラスする

 

色温度が高い4000K程度の白っぽい光をプラスすると日中の太陽の光の色に揃うので、違和感なく過ごす事ができます。

窓があり自然光が入る間取りなら、テーブルを窓に寄せてみるだけでも、作業性は格段にアップするはずです。

ちなみに我が家は、この自然光を取り入れるスタイルで大変快適に昼の作業もこなしています。

また、今の照明に部屋全体を明るくしてくれる間接照明、または手元スタンドなどを補助的に加えるのも効果的です。


ダイニングテーブルを窓に寄せると、自然光のおかげで明るく爽やかに過ごせる。/撮影:水谷綾子


LOLA(LUCEPLAN)/天井をアッパー照明で照らしてくれるので、部屋全体が明るくなる。/撮影:水谷綾子


太陽光LEDデスクライト(BALMUDA)/離れた場所から広く手元を照らし影を作らない光を実現。白色(Ra97)6段階調光。

 

暮らしを楽しむ照明の選び方

日常生活の中にプラスすると、より快適により楽しむことができる照明アイテムがあります。

それが、スタンド照明です。

スタンド照明は工事の必要なく、どこにでも置ける手軽さがいい。

スタンドのバリエーションとその効果を知ると、暮らしのあかりにより奥行きがうまれるでしょう。

 

スタンド照明はデザインも豊富で見ているだけで楽しくなります。

インテリアの1アイテムとして長く楽しめるので、もし気に入ったものが見つかったら少し高くても揃えていくのもまた楽しみですね。

 

スタンド照明には、実に様々な種類があるのをご存知ですか?

・フロアスタンド high(床置きスタンド、背の高いタイプ):部屋全体を照らしてくれる。

・フロアスタンド low (床置きスタンド、背の低いタイプ):ソファやひとり掛けの椅子に添えて置くと読書灯として最適。

・テーブルスタンド(テーブルに置くスタンド):棚やコンソールに置くタイプで、一緒に飾る小物なども楽しめる。

・小型スタンド(小さなスペースに置くスタンド):本棚の中など狭い場所に置けて機能的でディスプレイとしても重宝。


上:ROSY ANGELIS(FLOS)下:TAB F LED(FLOS)/フロアスタンドはhighとlowで部屋の印象が違ってくる。高さが違うことで活きてくるあかり。/撮影:水谷綾子

 

あかりを飾る

あなたの家のリビングルームには、いくつの照明がありますか?

広さにもよりますが、天井に明るいシーリングが1つだけです、と答える方もいるでしょう。明るいし不便を感じないのでそれでいいと思う方もいると思います。

 

“あかり”には私たちの暮らしをより豊かに、素晴らしい時間を過ごすための大切な役割があると思っています。

私の家のリビングルームには、照明が5つあります。しかも全てスタンドや小さな間接照明です。天井には何もついていません。

大切なことは、自分のいる空間に、自分の好きな物が丁寧に照らされた “お気に入りの景色” が浮かび上がることです。

 

居心地の良さは“あかり”で決まるのです。

長い家時間が好きになるあかりのイメージを、ぜひ広げてみてください。

 

あかりを飾る、4つのポイント

・かくれんぼライト(植木、飾り小物の後ろに小型ライトを隠して、小さな間接照明をつくる。無印良品やIKEAのシンプルな器具も活躍できそう)

・クリップライト(椅子の背、棚板などに挟んで簡単に設置して、好きなアイテムを照らす)

・小型スタンド(ディスプレイコーナーを作り、ふんわり照らす)

・低いあかり(床置きなど低いあかりは、夜、落ち着いたリラックスする雰囲気になるのでおすすめ)


かくれんぼライト2点/撮影:水谷綾子


上:TOLOMEO MICRO PINZA(Artemide)/クリップライト 下:TAB T(FLOS)/小型スタンド/撮影:水谷綾子

 

季節を楽しむあかり

“季節を楽しむあかり“もいろいろあります。

あかりと言うと、秋から冬にかけて、夜の時間が長くなる季節をイメージする人が多いと思います。

12月には、クリスマスツリーのイルミネーションが、部屋のメインの照明に早変わりします。

キャンドルの演出も欠かせない季節です。

 

実は私、「春キャンドル」もとても楽しみにしています。

春キャンドルは、まだ明るい早めの夕方から楽しむのがおすすめです。

蜜蝋キャンドルや、菜の花ろうそくなど、見た目も黄色で、香りもふんわり優しい空気が流れて来ます。


クリスマスツリー/撮影:水谷綾子


「春キャンドル」菜の花ろうそく

長い冬が終わり、春を待ち遠しく思う季節にとてもぴったりです。

ぜひ、灯してみて下さい。

 

パーティーなあかり

カラーLEDランプを使うと、カラフルな色のあかりを家で楽しめます。

スマートフォンやタブレット端末にアプリケーションをインストールし、簡単にコントロールも可能です。

 

一般的なE26口金の電球にそのまま設置できるカラーLEDランプは、スタンドやペンダントの中に入れて、器具ごとのカラーに染めることもできます。

 

間接照明として使えるテープライト型の照明は、両面テープが付いているので好きな場所に簡単に設置でき、長さはハサミでカットできる手軽さが魅力。

家具の後ろに設置して間接照明を楽しんだり、足元に入れてフットライトにしても寛げます。

 

充電式ポータブルライトもあるので、コンセントがない場所でも手軽に置くこともできます。


カラーLEDランプを使うことで、色のあかりを家で楽しめる。/撮影:水谷綾子


Hue フルカラースタータセット(Philips)/アプリで操作できるカラーLEDランプ。


左:Hue Go ポータブルライト(Philips)右:Hue ライトリボン(Philips)

 

環境を意識する“エコロジカルなあかり”

私たちは電気を使ってばかりではなくて、これからはどんなエネルギーを選択し、どの様にその電気を消費したいのか?

よく考えたい時代に入って来たと感じています。

当たり前のように与えられた電力をただ使用するのではなく、なるべく地球環境に負荷をかけないように意識していきたいものです。

 

・消費電力の小さい、LED、ELランプ(軽くて薄く、面・板状に発光させることが可能なため、ディスプレイなどに利用されている)、などを使用する。

・携帯型のソーラー充電器を日頃から活用する。

このくらいなら、意識的に取り組んでいる人もいるのではないでしょうか?

 

自然エネルギーを少しずつでいいので、自分の生活の中に取り入れていきたいし、いざと言う時は、小さなポータブルライト、スマートフォンくらいはソーラー充電器で稼働できたら安心ですよね。

 

でも、私はもう一歩先まで踏み込んで、エネルギーの意識を広げていきたいと思っています。

 

震災が起こった後、一部地域で計画停電がありました。また、駅や街中のあかりも部分的にであったり、電球を外したり、間引きして点けている期間がありました。

その時、「意外とこれくらいの照度で丁度いいね。」など根本的に元々明る過ぎたよね? と議論されていた事、ほとんどの方が今はもう忘れてしまっていませんか? 私たちは、省エネをしたいと思っている割に、また明るすぎる日本の照明に残念ながら戻ってしまっているのです。

実際、欧米の街並みやホテルなどは、もっと暗いと感じませんか?

 

もっと “暗さの美しさ” に気づくべきなのです。

僅かだから美しいあかりの世界がたくさんあります。

日本人には、もともとDNAに陰影礼讃を愛でる文化があるのです。

 

究極は、縄文時代。

日の出とともに起き、日中は自然光で過ごし、夜は松明の火で暖をとり、星や月夜を

楽しんだら眠りにつく。

なんてプリミティブなんだろう。

私はそんな暮らしに、日々憧れを抱いている。

とはいえ、現代の生活でこれが無理なのは分かっています。

ならばせめて、生活の中のあかりについて、大事に考えながら過ごしたい。

たった一つのキャンドルで過ごす週末があってもいいと思うのです。


太陽にリスペクト


小さな火種から火を起こす


焚き火


充電式ポータブルライト


「Little Sun Solar Light」を充電中!

 


村角 千亜希

照明デザイナー/国際照明デザイナーズ協会会員
1972年、東京生まれ。女子美術短期大学造形科卒業。2002年、照明デザイン事務所「スパンコール」設立。
ホテル、サロン、SPA、レストラン、神社、ファサード、外構、住宅、Exhibition、など幅広い分野の「光の設計」を手がける。 「人・場・時間」をつなぐあかりをデザインをする。人の気持ちや所作を大切に、空間の魅力を光で最大限に引き出し、美しい時間、上質な光を導く。

真に美しいあかりとは。エネルギーのつくり方、使い方から考えられるべきである。省エネルギー、自然エネルギーを取り入れた持続可能な社会を一緒に考え提案している。

代表作
「愛知万博・ヨルダン王国パビリオン」
「銀座レカン」
「ホテルカンラ京都」
「中川政七商店・遊中川」
「横山展望カフェテラス」
「SHAKOBA」

【スパンコールのホームページ】https://www.spangle.jp

【著書『照明で暮らしが変わる あかりの魔法』エクスナレッジ出版】