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「節電しながら野菜をいっぱい食べよう!」家事アドバイザーの食材選びと調理法

2023.05.18

世界的なエネルギー需給ひっ迫のなか、いまや家計的にも環境的にも、節電・節約を意識する人が増えているのではないでしょうか。節電・エネルギー節約のために冷蔵庫の貯蔵量をおさえる、家電や調理の稼働時間を減らす、といった努力はまず手始めにできることとして挙がります。とはいえ、その中でも健康的にたっぷりと野菜を調理してしっかり食べ、買い置きをしつつ冷蔵庫の中身を少量化したい! そんな、「健康を意識しつつ節電・節約と両立できる日常の中の工夫」について、テレビや雑誌で活躍する家事アドバイザー・節約アドバイザーの矢野きくのさんにお話をうかがいました。

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矢野きくのさん
家事アドバイザー・節約アドバイザーの矢野きくのさん

 

1.食事と節電 普段の生活の中でも実践できる節電・節約

エネルギー価格の高騰を起因とする光熱費はもちろん、食費やその他のあらゆる生活費までが値上がりし、家計を圧迫しています。「節約をしなくては」と感じている人も多くいることでしょう。

筆者の講演のときに来場者へアンケートを取ると、節約したい費目のいちばんめに来るのが残念ながら食費です。しかし、食費や光熱費を節約するがあまり健康を損なってしまっては本末転倒。また「節約しなくては」という気持ちが強すぎて、精神的に苦しくなると、日々の生活が楽しくなくなり、節約を続けることもできなくなってしまいます。 大切なのは、しっかりとした情報を得るように心がけ、無理なく日頃の生活の中で続けられる節約方法をとることです。

例えば、節電というと口にする人が多い「待機電力のカット」。使っていない家電のコンセントを抜いてまわるというものですが、実は労力ほどの節電効果はありません。筆者がこの仕事をはじめた20年ほど前は待機電力が多い家電もありましたが、その後、技術が進化し、今は全消費電力のうちの6%ほど。テレビなどはほとんど待機電力もかかっていないのです。

時間と手間をかけてコンセントを抜いてまわるのであれば、生活を維持しながら効果のある節電方法を見極めるべきではないでしょうか。

 

2.野菜選びが節電につながる?

健康な食生活を送る中で欠かせないのが野菜です。野菜は常温、冷蔵、冷凍、乾物、缶詰など種類があり、何を選ぶかによっても食費の節約にも、節電にもつながります。家庭で野菜を保存する際に電力を必要としないのは、常温保存できる野菜と乾物、缶詰です。野菜というと冷蔵、冷凍を思い浮かべがちですが、このような保存に電力を必要としない野菜を意識して摂るようにすることも大切です。

常温保存ができる野菜の代表は、玉ねぎ、じゃがいも。かぼちゃ類もカットする前は常温で保存できます。乾物の野菜の代表は切り干し大根、干し椎茸が挙げられますが、近年技術が進歩してそれ以外の乾物野菜も登場しています。また、自家製で干し野菜を作る人も増えてきました。趣味をかねて干し野菜に挑戦してみるのも良いでしょう。冷蔵や冷凍の野菜の割合を少なくしていくことで、野菜を摂取しながらも節電することはできるのです。

 

3.知っておけば役立つ! おすすめの「調理術」

また野菜の調理方法を変えることでも、節電することは可能です。

根菜類の下茹では電子レンジで

大根やじゃがいもなど特に根菜類は、鍋に水を入れて下茹でするよりも、電子レンジで加熱したほうがエネルギー消費を少なくすることが可能です。ただし、アクの元になるシュウ酸を多く含んでいるほうれん草は、茹でることによってシュウ酸を食材から落とすことができるので、ほうれん草に関しては電子レンジ加熱ではなく茹でることをおすすめします。

余熱調理・保温調理を活用する

カレーやシチュー、その他の煮込み料理などは、余熱調理や保温調理を活用することで省エネにつながります。仮に20分煮込む必要があるとき、最初の10分で火を止め、残りは鍋にふたをして余熱を利用することで調理できるものもあります。余熱調理・保温調理の時間の割合は、使っている鍋の厚みや食材によって変わってくるので、ご家庭でメニューにあわせて調整してください。

野菜を細かく切る

野菜の切り方でも節電・節ガスにつながります。煮込み料理でも炒めものでも、野菜を薄く、細かく切っているほうが中まで熱が入りやすく、加熱時間を短縮することができるのは容易に想像できるでしょう。メニューによって野菜が細かくても良いものは、ぜひ試してみてください。

 

4.野菜✕節電 時短にもなるおすすめメニュー

野菜をたくさん食べたいけれど節電もしたい。そんなときにおすすめなのが“リメイクレシピ”です。

まずは大きな鍋で必要人数分以上の野菜スープを作ります。味付けはシンプルなコンソメがおすすめ。

初日に野菜スープをいただいたら、翌日はそこに缶詰のトマトと最後にチーズを足して濃厚なトマトスープにリメイク。さらに3日目は残っているトマトスープにカレールーを足してカレーの出来上がりです。

リメイクしていくことで加熱時間は少なくすみ、節電・節ガスにもつながります。

日頃の暮らしを維持しながらでもできる節電方法はまだまだいろいろあります。ぜひ楽しみながら取り組んでみてくださいね。

 


矢野きくの(やのきくの)

家事アドバイザー・節約アドバイザー。女性専門のキャリアコンサルタントを経て女性が働くためには家事からの改革が必要と考えて現職に。家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ、雑誌、講演ほか企業サイトや新聞での連載。テレビクイズ問題の作成や便利グッズの開発にも携わる。

Twitter:https://twitter.com/yanojapan

Facebook:https://www.facebook.com/kikuno11

 

「シンプルライフの節約リスト」

主な書著
「シンプルライフの節約リスト」(講談社)


★節電情報について知りたい方はこちら!


『無理のない省エネ節電』(経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト)

『省エネ・節電 お役立ち情報』(電気事業連合会特設サイト)