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自己流でやっていた節電は大間違い!?節約のエキスパートが伝授する正しい節電術

2023.08.01

夏は、冷房を使うなど、電気をたくさん使用するシーズン。昨今、電気代の値上げが話題になることも多いため、「我が家でも!」と節電に取り組まれているご家庭も多いのではないでしょうか。一方で、誤った知識で行なってしまうと逆効果になることも…。今回は、テレビや雑誌など多くのメディアで活躍されている節約アドバイザーの和田由貴さんに、「勘違いしやすい節電と、正しい節電方法」について教えていただきました。

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節約アドバイザーの和田由貴さん

エアコン、冷蔵庫、照明器具の3つの家電が、家庭で消費する電力の半分以上!まずはここから節電を

節電する際に気をつけておくべきことは、消費電力※1の大きな家電を気にするより、使用頻度の高い家電をチェックして全体的な消費電力量※2を知ることです。エアコン、冷蔵庫、照明器具の3つ※3が、家庭で使用する電力の半分以上を占めています。

※1 消費電力=電化製品を1秒動かすのに必要な電力の大きさのこと。製品の性能を示すもので、W(ワット)と表記される。

※2 消費電力量=消費電力×使用時間で計算し、電気代の目安となるもの。Wh(ワットアワー)と表記される。

※3 資源エネルギー庁 省エネポータルサイトより https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/

 

STEP1

夏場は、冷房の電気代を特に気にされる方が多く、そのためエアコンの使用を我慢してしまうというケースがあります。でもエアコンの場合、設定温度を極端に下げたりしない限り、実は暖房より冷房の方が圧倒的に電気代が掛かりません。ですから、夏場は熱中症などの危険性もあるので、エアコンの使用を我慢してまで行う節電は避けましょう。


エアコンの設定温度を1℃変更するだけで、なんと約10%消費電力量が変わります。たった1℃の差が、電気代に大きく影響します。ただ風量は、ほとんど消費電力に影響がありません。つまり、風量は強くしても電気代は大きくは変わらない。人は同じ温度でも、強い風が体に当たると体感温度が下がるので、風量を強くしてあげることで涼めます。設定温度を下げるのではなく、風量で調整しましょう。
 

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設定温度を控えめにするコツは、部屋の環境を整えることです。日本の住宅は断熱性が低く熱伝導率が高いところも多いため、遮光カーテンを使っても、窓に日が当たると部屋がすぐ暑くなります。直射日光がかなり当たる状態では、いくら冷房を入れても部屋の温度はなかなか下がりません。ですから、窓に日が当たらないように、外側で何かしらの対策をしてあげることが必要です。例えば、夏の場合は、外側に簾や葦簀(よしず)を設置して日陰を作ると効果的です。

また、もう一つ誤解されやすいところとして、環境省が「温度を28℃に」と推奨していますが、これは、設定温度ではなく目安となる部屋の温度ということに注意してください。エアコンの設定温度を28℃にしても、古いエアコンや部屋の環境によっては、いくら稼動させても室温が28℃にならない場合もあります。設定温度を28℃にこだわってしまうと、場合によっては熱中症になる危険性もあります。ですから、熱中症予防のためには室内に湿度も測れる温度計をおいて、室温の目安として28℃を保つように心がけるといいと思います。外気温が高くなり蒸し暑くなる夏場は、室内の湿度は40~60%が理想的とされています。
 

STEP 2:冷房と除湿の使い分け

エアコンには、冷房と除湿運転があります。除湿運転を、「なんか電気代が安そう」「なんかエコっぽい」と信じて使っていませんか?これはよく勘違いしがちなポイントなんです。実は、除湿運転も基本的な効果は冷房と変わりません。除湿の仕組みは室内の空気を冷やして結露を作り、その水滴をドレンホースから外に流し出しているので、一般的なエアコンの除湿運転は「弱冷房」であり、その名前の通り弱い冷房を使用しているのと同等の効果なのです。弱い分、冷房よりは電気代も安いですが、冷房より弱いため除湿できる量も少なくなります。本当は、冷房のほうが除湿量は多いです。

また、再熱除湿と呼ばれる除湿方式が搭載されているエアコンの場合、部屋はあまり冷えませんが、冷房運転よりも除湿量は少なく電気代は高くなります。除湿運転は、ちょっと肌寒い梅雨の時期や湿気が多いとき、部屋の温度を下げたくないけど湿気を取りたいときに活用しましょう。つまり、夏の暑いときに除湿したいと思ったら、冷房がベストな選択です。

 

STEP 3:室外機の設置と掃除

室外機も意外と重要な部分です。エアコンのフィルターはみなさんよく掃除されていますが、外にある室外機は見落としがちだと思います。泥ハネや蜘蛛の巣が張って汚れていたり、雑草がボーボーに生えて空気の排出がしづらい状態で室外機を設置していたりしませんか?熱交換を行う重要な装置なので、汚れていると運転効率が下がるだけでなく、放熱できずに余計な電気代がかかってしまいます。さらに、直射日光がガンガン当たる状態も良くないので、日陰を作り設置する環境を整えることも大切です。

室外機は、雨に濡れても基本的に大丈夫な構造になっているので、水洗いしても大丈夫です。ただし、掃除をする際に高圧洗浄機を使用するのは、絶対に避けましょう。アルミのフィンが折れ曲がったりするので、傷つけないように柔らかいスポンジで軽く洗うのがオススメです。


室外機の設置場所は、日なたよりも日陰のほうが好ましいです。ただ、すでに日なたに設置してある場合は、動かすことができません。室内機と繋がっている冷媒配管は、故意に折り曲げたりすると冷媒と呼ばれるガスが漏れる場合もあり、故障の原因となります。ですから、絶対に室外機は動かしてはいけません。そこで利用したいのが、アルミが貼られている日除けシートです。ホームセンターなどで売っているので試してみてください。
 

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STEP 4:コンセント

コンセントからプラグを抜くことも、実は故障の原因になります。待機電力を気にされてこまめにプラグを抜く方がいますが、エアコンに関しては止まったように見えても、室外機が外で動いていたり、冷媒の循環が完全に止まっていなかったりすることが十分に考えられます。ですから、スイッチを止めたあと数時間はプラグを抜くのはやめましょう。抜くのはオフシーズンなど、長時間使用しない場合のみがいいと思います。

 

部屋の照明器具は、早めにLEDに変更を!

照明器具は、早急にLEDへチェンジしましょう。従来の照明器具と電気代を比較すると、蛍光灯で約1/2、白熱灯だと約1/10の消費電力量に抑えられます。それから、発熱量が少ないので、室温の上昇に影響を与えにくいです。白熱灯は点灯してすぐに熱くなり、夏の室温に大きな違いが出ます。冷房を利用しながら部屋を温めてしまっているので、電気代が非常に無駄です。こういう観点に鑑みてもLEDがオススメなのです。

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照明器具は頻繁に点けたり消したりすると、点灯時に電力を消費して電気代がかかると思っている人がいるようですが、これは間違いです。白熱灯やLEDは、短い時間でも消灯するように心がけてください。消し忘れが多い方は、人感センサーが内蔵された電球もオススメです。ECサイトで某国内家電メーカーのモノが900円前後で販売されています。トイレや玄関に使うと大変便利に活用できます。ただし、蛍光灯の場合は1回の点灯で寿命が1時間短くなると言われているので、頻繁にオン・オフするのは避けたほうがいいかもしれません。

 

古い冷蔵庫は買い替えましょう。庫内の収納量も節電のキーポイントに!

次に冷蔵庫。省エネ性能が低い冷蔵庫を使っていると、節電をいくら頑張っても努力が水の泡になります。エアコンは10〜15年前の製品でも省エネ性能に優れていますが、冷蔵庫の場合は15年も前の製品の場合、年間の電気代に1万円近く差が出ることもあります。古い場合は、早めに買い替えも検討しましょう。

また、ファミリータイプの大型製品と、一人暮らしサイズの小型製品を比較した場合、大きい製品のほうが電気代が安い場合もあります。コロナ禍の影響で買い置きが増えたため2台目の冷蔵庫を購入するケースも増えたようですが、2台所有すると電気代が2倍かかってしまいます。今の冷蔵庫が手狭になったなら、大きな冷蔵庫に買い替えたほうが電気代は安いですし、以前のモデルと比べて同サイズでも容量は増えているので、省スペースで活用できてお得です。

使い方にも注意点があります。冷蔵室にモノを詰め込みすぎると、冷気の循環が悪くなって無駄な電力がかります。7割くらいを目安にして、冷気の吹き出し口を塞がないように工夫すると良いでしょう。逆に冷凍室には、たくさんモノが入っているほうが電気代が安くなります。隙間があるなら水を入れたペットボトルを凍らせておくと、停電対策にもなり一石二鳥です。

 

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夏場はこれで万全!冬場の節電対策は、窓際の防寒・断熱対策をチェック!

冬は夏と違い、部屋の内側で熱を逃さない防寒対策をするのが基本です。カーテンの裾と床の間にできる隙間も、部屋が冷える原因の1つです。冷たい空気は重たく低いところに溜まるので、カーテンと床に隙間があると冷たい空気がどんどん入ってきます。簡単な対策としては、厚手のカーテンを使用して引きずるくらい長くする。もし隙間があるなら、タオルやクッションで塞ぐだけでも効果があると思います。


逆に、暖かい空気は上に溜まります。暖房を利用していると、どうしても天井の方ばかり温めてしまいます。生活空間は床に近いので、暖房効率が悪くなり電気代もムダになります。きちんと空気を攪拌(かくはん)して、暖かい空気を下の方まで回してあげると、床まで暖かくなり暖房効率も上がります。
そこで、冬場は暖房と同時に、サーキュレーターの使用をオススメします。扇風機とサーキュレーターは、風を出す電化製品ですが、それぞれ用途・目的が全く違います。扇風機は広く柔らかい風を出し、人に直接風を当てるための家電。一方のサーキュレーターは強く直進的な風を出し、空気を循環させるための家電です。
扇風機は首が上に向かないと思うので、冬にサーキュレーターの代用として使うなら、高い家具の上に置いたりして天井方向に向ける必要があります。ただし夏は、風が当たったほうが体感温度が下がるので、エアコンと併用するなら扇風機のほうがより快適に体感温度を下げられます。

 

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最後に:家電の機能を有効活用したりスマート家電を採用したりして、無理のない節電を心がけましょう!

政府による電気・ガス料金の緩和措置による補助金も段階的に縮小、廃止する方針が示されております。7月現在、燃料費は多少落ち着いていますが、世界情勢の動きによってどうなるかわからないので、今後も節電は注目されるでしょう。
効率よく節電をするなら、まず消費電力量が大きな家電を中心に考えましょう。スマホの充電器を抜いている人もいますが、ほぼ待機電力ゼロですから頑張っても節電効果はあまり期待できません。そこを気にするなら、エアコンの設定温度を1℃変える方が有効です。人感センサー付きの照明を使ったり、テレビ画面の明るさもセンサー機能を活用したりすると消費電力は抑えられます。家電に備わっている機能を上手に駆使しながら節電を心がけるのも、賢く節電をするポイントになります。節電の効果が出やすいところは徹底し、そうでないところは気にしない。そんな感じで良いと思います。家の中には家電がたくさんあるので、全ての家電で節電を頑張ろうとすると疲れてしまいます。

あと、スマートリモコンやスマートプラグなど、スマート家電を有効に活用するのもオススメです。防犯目的で照明をつけっぱなしの人もいますが、スマート家電を利用すると、そういう場合もタイマーで点灯できるようになります。さらに、エアコンも外出先から操作して、帰宅する頃に部屋を快適にしておけます。そういった便利な知識も身につけておくと、効果的な節電が無意識にできるようになるでしょう。
 


和田由貴

わだゆき。節約アドバイザーとして、消費生活や家電製品、食生活など暮らしや家事の専門家として幅広く活動中。また、環境カウンセラーや省エネ・脱炭素エキスパートという顔も持ち、環境問題にも精通する。2007年に環境省の「容器包装廃棄物排出抑制推進員(3R 推進マイスター)」に選出。活動のモットーは「節約は、無理をしないで楽しく!」で、耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱している。

公式HP: http://wada-yuki.com/
 

企画・編集=Concent 編集委員会


★節電情報について知りたい方はこちら!


『無理のない省エネ節電』(経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト)

『省エネ・節電 お役立ち情報』(電気事業連合会特設サイト)