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2025年大阪・関西万博が待ち遠しい!電気事業連合会のパビリオン『電力館 可能性のタマゴたち』とは?

2023.12.26

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電気事業連合会 大阪・関西万博推進室 重光郁徳さん

 

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に出展する電気事業連合会のパビリオン名称は『電力館  可能性のタマゴたち』。2023年10月に開催された「民間パビリオン構想発表会」では、名前の通り“タマゴ”のような最新ビジュアルも公開されました。長い時間をかけて練られたというパビリオンの構想。電気事業連合会の中では、どのようにパビリオンの準備が進められているのでしょうか。そして電気とタマゴを結び付けるユニークな発想の由来は…?電気事業連合会 大阪・関西万博推進室(以下、万博推進室)の重光郁徳さんにお話を伺いました。

 

カーボンニュートラルに取り組む研究や最新技術をわかりやすく伝えたい

電気事業連合会の万博推進室は2021年に発足。電気事業連合会に加盟する各電力会社から選抜されたメンバーで構成されており、中国電力から出向中の重光さんもその一人です。パビリオンの企画から設計・建築や運営、広報に催事、バーチャル万博(リアルでの大阪・関西万博と同時にオンライン空間で開催される万博)といったITに関連する業務などを、8人で対応しているそう。

重光さん「8人それぞれが個性豊かで明るい職場です。幅広い世代の方に楽しんでいただけるパビリオンを目指し、学校の先生や学生さんなどの意見も伺いながら準備を進めています」
 

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万博推進室での業務が始まって以来、「忙しいけど楽しんでますよ(笑)」と話す重光さん。「中国電力を代表して万博に携わっている」というプライドを胸に、日々準備に奮闘している

 

『電力館 可能性のタマゴたち』は、メンバー全員で幾度も議論を重ね、周囲の協力も得ながら徐々に形に。電気事業連合会が大阪・関西万博への出展を通して伝えたいこととは?

重光さん「現在、我が国では2050年までに温室効果ガスの排出量を減らし、どうしても出さざるを得ない部分に関しては森林などに吸収してもらい、実質的に排出量をゼロにする『カーボンニュートラル』を目指しています。日本全体でのCO2排出量のうち、約4割が電力部門からの排出と言われており、我々としても、そこは大きな課題だと考えています。電気事業連合会に加盟する各電力会社は、CO2削減に向けてすでに実施している安全を最優先とした原子力発電の活用や、再エネの最大限の導入、蓄電池の活用、水素やアンモニアの混焼といった取り組みに加え、日々さまざまな研究や技術開発を行っています。そんな我々の取り組みを見ていただきたいというのが、パビリオンを出展する目的の一つですね」

 

未知なるエネルギー「可能性のタマゴたち」で未来を描く

『電力館 可能性のタマゴたち』のテーマは、「エネルギーの可能性で未来を切り開く」。カーボンニュートラルにつながる取り組みだけでなく、電力業界ならではの視点でさまざまな未来への可能性が提示される予定です。

重光さん「2050年にカーボンニュートラルが達成できればOK、ではありません。51年、52年…と、その先もずっと社会は続いていきます。カーボンニュートラルのその先へ向かっていく、我々は今まさにその転換点にいると考えています。エネルギーの使用を我慢するのではなく、技術の発展によってうまく使っていく。効率よく使っていければ、5年しか使えなかったものが、10年、15年と使えるようになるかもしれませんよね?また、今まで目をつけていなかった“何か”からエネルギーを取り出すことができるかもしれません。例えばですが、海からエネルギーを取り出せるんじゃないか、遠い宇宙からもエネルギーを取り出せるんじゃないかとか……そういった未来の可能性を体感できるパビリオンを目指しています」

 

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「妄想に近いかもしれませんが」と微笑みながら、未来のエネルギーの可能性について話す重光さん

 

重光さん「実は、パビリオンの名称にある『可能性のタマゴたち』の“たち”がすごく重要なんです。例えば火力発電でCO2が排出されるのであれば、なるべく出ないようにしたり、回収したりする。そして、回収したCO2を野菜や果物に与えたら成長が早くなるかもしれない。この例だけでなく、その他にもエネルギーには“いろいろな可能性”があるということを来館者の方々に知ってほしい、その思いが可能性のタマゴたちの“たち”に込められています。このパビリオンがカーボンニュートラルの先の未来をみんなで考えるきっかけになってほしいですね」

 

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“タマゴ”が未来社会のカギに!?

 

2025年の会場で実際にどんな可能性のタマゴたちが見られるかは、「絶賛検討中です(笑)」とのこと。タマゴ型のデバイスを持ってパビリオン内を巡るなど、大人も子どももエネルギーの可能性にたくさん触れて、楽しみながら学び、もっと探し集めたくなるような仕掛けを考えているそう。

重光さん「パビリオンの名称にちなんで、外観もタマゴ型なんです。ツルッとしたタマゴではなく、いろいろな形の平面が組み合わさった『ボロノイ構造』を採用しています。色はシルバーで、天候や時間帯によって見え方が変わります。日中は少し白っぽく見えたり、夕方の西日に照らされるとオレンジっぽく見えたり。可能性のタマゴは変化しないものではなく、どんどん成長していくものですから、それを表現するとともに、会場の雰囲気や環境、自然などと調和する造りになっています。また、役目を終えた太陽光パネルのガラスを骨材に使用している舗装ブロックを採用し、SDGsにも取り組みます。さらに、パビリオンの外に屋外ステージを併設し、いろいろな団体、企業、学生のみなさん等とのコラボレーションを通じて、さまざまなメッセージを発信する予定です」
 

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“​​​​​​パビリオンの表面にはいろいろな形の平面が組み合わさった「ボロノイ構造」を採用。舗装ブロックに使用済み太陽光パネルのガラスを使用するなどSDGsにも配慮する(完成予想図)

 

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屋外ステージではさまざまなイベントを開催する予定(完成予想図)

 

電力のDNAを受け継ぎ、エネルギーの可能性とワクワク感を創出

電気事業連合会は、1970年の大阪万博、1985年のつくば科学博、1990年の花の万博、2005年の愛知万博(愛・地球博)にも出展しています。例えば、大阪万博では「人類とエネルギー」をテーマに、新しいエネルギーとして注目されていた原子力発電にまつわる映像や、電気などを使ったイリュージョンショーを展開。また、愛・地球博では「Powerful Imagination ~想像力は豊かな未来を創る活力~」をテーマに、宇宙や自然界、人々のエネルギーが詰まった地域のお祭りなどの展示を電車型ライドで巡りました。大阪万博では500万人、愛・地球博では370万人を超える電力館への来場者数を記録したそうです。

 

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​​​​​​1970年の大阪万博で出典したパビリオン「電力館」は高さ約40m、4本柱のつり構造の本館、別館の水上劇場の2つの建物で構成

 

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愛・地球博のパビリオン「ワンダーサーカス電力館」。外壁には国内外の子供たちが描いた30枚の絵を飾り、賑やかに演出した

 

重光さん「電気を通じて暮らしを支えるという、脈々と受け継がれてきた電力のDNAを私たちもしっかりと受け継いで未来につないでいきたいです。今回の万博では電力業界が目指す未来である、カーボンニュートラルの世界観を感じてほしいと思っています。電気やエネルギーって小難しいと思うので、エンタメ性を持たせながら、来ていただく人にワクワクするような体験を提供し、エネルギーの可能性や先端技術を伝えていきたいですね。『エネルギーって実はおもしろいじゃん』って楽しんでもらえるような展示を考えていますので、ぜひご来館をお待ちしています。絶賛検討中なのに、気が早いですかね(笑)」

 

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「つくる側が楽しくなければ、みなさんにも楽しんでいただけない」。そう断言する重光さんの横顔からは、ワクワク感と「絶対に良いパビリオンをつくってみせる」という自信が感じられました。受け継がれてきた電力のDNAとその未来を表現する『電力館 可能性のタマゴたち』は、エネルギーの可能性にあふれたパビリオンになりそうですね。“絶賛検討中”の展示内容に期待が高まります!

 

企画・編集=Concent 編集委員会


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