東京都千代田区北の丸公園にある「科学技術館」は、科学や技術の面白さを、実際に見て、触って、試して学ぶことができる体験型ミュージアム。広い館内には2階から5階までそれぞれのコンセプトごとにたくさんの展示がずらり!1日では時間が足りないほど充実の展示内容で、子どもはもちろん、大人の知的好奇心も刺激してくれる、ワクワクが止まらない空間です。今回はそんな「科学技術館」の中でも、生活に欠かせない電気やエネルギーに関する展示にフィーチャーしてご紹介します!
館内1階の受付でチケットを購入!お得な前売り券もあります
「科学技術館」にやって来たのは、小学2年生のももちゃん、5歳のゆず君、まりえママの親子3人。 「『科学技術館』には初めて来ました!子どもたちの好奇心を楽しく学びにつなげられたらいいなと思っているので、今日はすごく楽しみです」とまりえママ。気合い十分の子どもたちと一緒に、館内へレッツゴー♪
自分で電気を作ってみる!? 電気の原理がわかる「デンキファクトリー」
3階の「デンキファクトリー」
最初に向かったのは3階の「デンキファクトリー」です。普段、当たり前に使っている電気ですが、「そもそも電気ってなに?」「どうやって発電するの?」といったことを知らない子どもたちも多いはず。ここでは、そんな電気の作り方や使い方について学ぶことができるんです。
●発電サイクリング
「発電サイクリング」を本気でこいで家電のスイッチをオン!
まずチャレンジしたのは、入ってすぐの場所にある「発電サイクリング」。ここでは、自転車のペダルをこぐと発電機が動き、電気が発生するという仕組みが体験できます。発電したワット数に応じて、目の前にあるテレビや扇風機、オーディオ機器 などの電化製品が稼働し始めます。
ももちゃんが一生懸命ペダルをこいでしばらくすると…正面のテレビが点きました!喜ぶももちゃんでしたが、体力を相当奪われたようで数分でギブアップ。「結構疲れる~」と言いながら、電気を作る大変さを実感した様子でした。
●アーク放電
動く光が神秘的に感じられる「アーク放電」
こちらは、電気が空気の中を流れる様子が観察できる「アーク放電」の展示。本来、空気は電気をほとんど通しませんが、高い電圧をかけると空気中にも電気が流れます。白熱灯や蛍光灯が発明される以前は、この「アーク放電」を利用した「アーク灯」が使われていたそうですよ。
2人が「せーの!」でスイッチを押すと、「ブ~ン」という音と共に、電極の間を、不思議な形をした光が上のほうへ登っていきます。光が動くのはほんの数秒とあって、子どもたちもピタッと止まって真剣に見つめていました…。
●実験ショー
「デンキファクトリー」の実験ショーは(1)11:30~11:45、(2)14:00~14:15、(3)15:30~15:45の時間に毎日開催(火曜日を除く)
「デンキファクトリー」では、1日3回「電気と磁石と力」をテーマにした実験ショーを開催。電気をテーマにした実験を間近でたくさん見られる機会は学校でもめったにありません。ももちゃんとゆず君も迷わず参加!
先生が銅線をぐるぐる巻いたコイルと磁石を近づけると、微弱な電気が発生。最初は電流計の針が小さく揺れるだけでしたが、強力な磁石に変えたり、銅線を30回から1500回巻いたコイルに変えたりすると流れる電流がアップ!針の揺れが見た目にはっきりわかるほど大きく変化しました。
実験の内容は来てくれた子どもたちの年代に合わせて変更しているそう
さらに、豆電球をつないで磁石を上下に素早く動かしてみると…「あっ!光ったー!」とももちゃんも笑顔に。磁石の強さやコイルに銅線を巻く数、磁石の動かし方を変えることで、流れる電気の強さをコントロールすることができます。5歳のゆず君も、目の前で次々と繰り広げられる実験の様子に、目が釘付けでした!
原子力エネルギーや地層処分について知る「アトミックステーション ジオ・ラボ」
3階の「アトミックステーション ジオ・ラボ」
続いてやって来たのは「アトミックステーション ジオ・ラボ」。原子力エネルギー、化石燃料、自然エネルギーなど、地球上にある様々な種類のエネルギーについて楽しく学ぶことができます。中をのぞくと大きなパネルがいっぱい!ここではどんな体験ができるのでしょうか!?
●原子炉模型
「水がぐつぐつしてる!」と原子炉模型に興味津々なももちゃん
子どもたちが最初に興味を示したのは、フロアの中央にある大きな「原子炉模型」です。原子炉内で燃料のウランを核分裂させた時に発生する熱によってお湯を沸かし、その蒸気でタービンを回して電気を作る原子力発電。模型には、水がぐつぐつ沸いてくるように見える仕掛けがあり、それと連動するように天井のライトがパァーっと明るく光って、街が描かれたパネルにも電気が灯ります。ももちゃんたちも、原子力発電所で電気を生み出されること、作られた電気が街を明るくすることがイメージできたようです!
●化石燃料
大きな絵本には化石燃料ができるまでのストーリーが描かれています
続いては「化石燃料」のコーナーです。化石燃料とは、古代の動植物が地中で変化してできた、石油、石炭、天然ガスなどの資源のこと。数字が大きく書かれた壁のパネルや大きな絵本で化石燃料についての知識を深めることができます。
ゴツゴツ&ザラザラした触り心地の石炭
ももちゃんが触っているのは、北海道の夕張炭鉱で採れた石炭。真っ黒で硬い石炭の正体が、実は大昔の植物だったことを知ってびっくり!横にある説明をママと一緒に読んで、電気の約3割が石炭火力発電で作られていること、石炭が火力発電には欠かせない燃料だということを学びました。
●自然エネルギー(再生可能エネルギー)
ハンドルを回すと太陽の光がエネルギーに変わる…?
太陽光や風力、地熱、潮力など、自然から生み出すことができるのが「自然エネルギー」です。展示パネルの前でハンドルをくるくる回すと、自然界にあるいろいろなものからエネルギーが生まれることを学べます!「太陽の光だけでなく、風や波からもエネルギーが生まれるんですね」とママも勉強になった様子。
●日本のエネルギー事情
石油、石炭、天然ガス、ウラン鉱石の情報が学べる
次は、「日本のエネルギー事情」を調べるコーナーへ。さっそくももちゃんが調べてみたのは「天然ガス」について。ここでは、大きな舵を回して、気になる燃料に矢印を合わせると、それぞれの埋蔵量や日本の輸入量などが表示されます。「これって多い?少ない?」と、ももちゃんには新たな興味が生まれたよう。
●実験ショー
「アトミックステーション ジオ・ラボ」の実験ショーは(1)10:50~11:05、(2)14:15~14:30の時間に毎日開催
「アトミックステーション ジオ・ラボ」では、1日2回「放射線を見てみよう」をテーマにした実験ショーを開催しています。この実験ショーでは、「霧箱」という装置を使い、身のまわりに存在している「自然放射線」を観察します。「放射線って何?」と初めて聞く言葉に興味が湧いた様子のももちゃん。エタノールが入った箱をドライアイスの上に置いてラップを被せ、キャンプなどで使うランタンの光源になるマントルの芯(※) を近づけてみると、放射線の飛んだ跡である飛行機雲のような「飛跡」が次々に現れます。「わぁ!ほらここ!白い線が見えるよ。すご〜い!」とももちゃんもびっくり!
※一部のマントルの芯は花崗岩などにも含まれる放射性物質であるトリウムをわずかに含みます。
●体感!なぜ?なに?地層処分!!
「体感!なぜ?なに?地層処分!!」では地層処分の仕組みを体感
そして、子どもたちに大好評だったのが、「高レベル放射性廃棄物の地層処分」について体感型ゲームを通して知る「体感!なぜ?なに?地層処分!!」です。地層処分とはどのようなものなのか、センシング技術を使ったゲームを通じて学ぶことができます。
「粘土で覆って守れ」のミッションでは、タイミングと体の傾きをコントロールするのがコツ!
まずは、大型スクリーンの前に立って自分をアバター化。体をうまく動かしてアバターをコントロールしながら、「金属の容器を覆え!」「地中深くまで穴を掘れ」「粘土で覆って守れ」 の3つのミッションにチャレンジしました。
ゲームの結果は…めでたく「GEO MASTER(ジオマスター)」の称号をゲット!
体験時間は約10分ですが、集中力と体力が求められるミッションは意外とハード!3人で真剣に競い合って、終わった頃にはすっかりヘトヘトに。「結構疲れたけどすごく楽しかった!」とゆず君。子どもたちもママも大はしゃぎの体験でした。
※「体感!なぜ?なに?地層処分!!」の体験には整理券が必要です。開館以降に、「体感!なぜ?なに?地層処分!!」の入り口前にある発券機で整理券を発券してください。
※体験中は、結果発表の場面以外は撮影禁止です。
体を動かしながら楽しめる体験・展示がいっぱい!
電気やエネルギーのほかにも、「科学技術館」には2階から5階までいろいろなテーマの展示があります。スタッフさんにおすすめの展示を教えてもらって、遊びに行ってみることに!
●メカ
周りの人と協力しながら、銀色の球体を移動させよう(提供:科学技術館)
5階の「メカ」のコーナーには、銀色の球体を運ぶ巨大な機械が!ここでは、大きな滑車やねじ、てこ、歯車などの装置を自分で動かしながら、物理のさまざまな原理を体験することができます。レール上の大きな玉を、上げたり下げたり転がしたり…。その工程は、まるで巨大な工場のよう。一人では動かすのが難しい装置もありますが、初対面の子どもたちが協力したり、「頑張れ!」と応援したりしながら遊ぶ様子が印象的でした!
●ジャンボ・ピアノ
鍵盤の上を自由に走り回るももちゃんとゆず君
続いて「サウンド」のコーナーでは、「ジャンボ・ピアノ」の鍵盤の上をぴょんぴょん飛び跳ねて演奏!音を鳴らすと、正面のスクリーンに音の“すがた”が映し出されます。自由に音を出して楽しむパターンと、ナビに従ってメロディーを鳴らし、一曲の演奏にチャレンジするパターンがあり、好みに合わせた楽しみ方ができます。
●でっかいしゃぼん玉
初めてしゃぼん玉の中に入った2人はこの表情!
同じく5階の「ワークス」では、「でっかいしゃぼん玉」の中に入る未知の体験ができます。ももちゃんとゆず君が装置の中央に立ち、ママがバーを引き上げると…スポッと2人はしゃぼん玉の中へ。しゃぼん玉が割れた後も2人の興奮は冷めやらず、すぐさま「もう一回やりたい!」とリクエストしていました。
ペダルをこいだり、全身を使ってゲームにチャレンジしたり…思いっきり体を動かしながら学び、心ゆくまで楽しんだ様子の子どもたち。電気やエネルギーの大切さ、そして科学の面白さを感じる良い機会になったようです。今日の感想を3人に聞いてみると…?
「しゃぼん玉に入るのが楽しかった。もっと遊びたかった!」(ゆず君)
「自転車をこいで電気を作るのが大変だったから、これからはもっと電気を大切にしたいなって思いました。よく廊下の電気をつけっぱなしにしちゃうんだけど、これからはちゃんと消したいです!」(ももちゃん)
「普段はあまり意識しないけれど、科学って私たちの生活と直に結びつく身近なものだと感じました。そして、電気やエネルギーの大切さを改めて実感する機会になりました。子どもたちにはまだちょっと早いかなと思ったのですが、どの展示もすごく楽しんでいて、ごく自然に遊びが学びにつながったようです。今日体験できなかった展示もたくさんあるので、また来たいと思います!」(まりえママ)
緑豊かな「北の丸公園」にあり、親子でおでかけするのにぴったりな「科学技術館」。皆さんもぜひ足を運んでみてくださいね!
体験型の展示や全身を動かすゲーム、目からウロコの実験ショーとてんこ盛りの内容に子供たちも大満足の様子。また、ただ楽しめるだけでなく、「電気を作るのって大変なんだね」「(原子炉模型を見ながら)ぐつぐつしてるのはなに?」と自然と気づきにつながっていたのも印象的でした。親子で学べる科学技術館、おすすめです!
■科学技術館
東京都千代田区北の丸公園2番1号
【開館時間】9時30分~16時50分
【休館日】
・水曜不定休(休日の場合は次の平日)
・年末年始(12月28日~1月3日)
※繁忙期(学校の長期休みなど)の水曜日は開館します。最新情報はホームページをご確認ください。
【入館料金】大人950円(65歳以上は850円)、中学生・高校生600円、子ども(4歳以上)500円
※各種割引もあります。詳細はホームページをご確認ください。
企画・編集=Concent 編集委員会
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