家事に仕事に子育て、私たちの毎日はやることが尽きることなく大忙し。そんな中、頼れる存在として注目を集めているのが「AI家電」です。「どんな使い方ができるの?」「家事がどうラクになるの?」そんな疑問に応えてくれるのが、“仕組みで回す家事”を提案している知的家事プロデューサーの本間朝子さん。ご自身も複数のAI家電を使いこなし、その便利さを日々感じているそうです。そんな本間さんにAI家電の活用法をうかがいました。

知的家事プロデューサーの本間朝子さん
生活スタイルに寄り添い、家事を最適化してくれる「AI家電」
――はじめに、本間さんの活動内容について教えてください。
「知的家事プロデューサー」として、家事を「仕組み化」して時間と心のゆとりを生み出す方法を、さまざまなメディアを通して伝えています。具体的には、無理なく続けられる時短家事のテクニックや、家電を賢く使いこなすコツなどをご紹介しています。最近は特にAIへの関心が高まっていて、AI家電をはじめとする、デジタル技術を活用した家事の効率化について発信する機会も増えています。
――AI家電とはどのようなものでしょうか。
AI家電とは、一般的に人工知能を搭載した家電のことを指します。大きな特徴は、私たちの生活パターンや好みを学習しながら、自動で最適な設定をしてくれること。例えば、「毎朝7時頃に出かけて、夕方18時頃に帰ってくる」といった生活習慣を家電が学習して、それに合わせて動いてくれます。
家電メーカー各社が“AI”をうたう製品を増やし、一般家庭にも選択肢が広がってきたのは2010年代前半から半ば頃。まずロボット掃除機が身近になり、今では冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど、さまざまな家電にAI技術の導入が進んでいます。

現在はさまざまな家電にAI技術が使われている(画像素材 / PIXTA)
――冷蔵庫、洗濯機、エアコンにもAIが搭載されているんですね!どんな使い方ができるんですか。
AI冷蔵庫では、搭載されているカメラとアプリを連携し、食材管理をサポートしてくれる機種も登場しています。例えば、野菜室に野菜を入れると、色や形から種類を自動判別し、アプリの食材リストに反映してくれます。さらに、「早く使った方がよい食材」の順に表示したり、使わずにいると「期限が間近です。そろそろ使いませんか?」とメッセージで教えてくれたりします。こうした機種なら外出先でも中身を確認でき、使い忘れも防げるので一石二鳥ですよね。
最近のAIエアコンには、センサーやアプリと連携して、部屋の温度や人の位置、天気予報なども参考にしながら、自動で快適な温度に調整してくれるモデルも登場しています。部屋に誰もいない時は省エネ運転にしてくれるなど、気の利いた動きもしてくれます。AI洗濯機は、汚れ具合や洗剤の種類、布質などをセンサーで判断し、最適な洗い方や運転時間を自動で調整してくれます。まさに“洗濯のプロ”がそばにいるような頼もしさです。
――「生成AI家電」も登場しているそうですね。従来のAI家電とはどう違うのでしょうか。
従来のAI家電は「学習と自動化」が中心でしたが、生成AIと連携できる家電は、それに加えて「提案と対話」ができる点が大きな違いです。つまり、その時々の悩みや状況に応じて相談できる家電なんです。 例えば、生成AIと連携するオーブンレンジの場合、「この食材で作れるレシピを教えて」と相談すると、「こんなメニューはいかがですか?」と、そのオーブンレンジで作れるレシピを提案してくれます。

生成AIのチャット相談に対応するオーブンレンジ(※)(提供:本間朝子さん)
※別途、月額サービスの申込みが必要
苦手な家事にAI家電を取り入れよう
――本間さんご自身が実際に使ってみて、一番生活の変化を感じたAI家電は何ですか。
生活の変化という点では、やはりロボット掃除機ですね。今のロボット掃除機は本当に賢くて、部屋の形や家具の位置を学習して、自動で最適なルートを選びながら、汚れがひどい場所は重点的に、お掃除の必要が少ない時は軽く通るだけにするなど、無駄なく効率的な動きをしてくれます。掃除が終わったら完了通知がスマホに届いて、掃除した場所を図面で見せてくれますし、交換が必要な部品があれば替え時も教えてくれるので、本当に助かっています。

本間さんが愛用するロボット掃除機(提供:本間朝子さん)

清掃完了後にスマホのアプリで表示される清掃経路(提供:本間朝子さん)
――今は便利なAI家電がたくさんあるんですね。家事をラクにするなら、どのAI家電から取り入れるのが良いでしょうか。
AI家電は、「自分が一番負担を感じている家事」から取り入れるのがおすすめです。私のように掃除が苦手ならロボット掃除機、料理の手間を減らしたいなら自動調理鍋やAIオーブンレンジ、食材の管理が苦手という方はAI冷蔵庫を選ぶといいでしょう。苦手な家事をAIにまかせる方が、ラクになった効果をより大きく実感できると思います。

メニューを提案し、調理もばっちりこなしてくれる自動調理鍋(提供:本間朝子さん)
もう一点、大切なのは自分や家族の暮らしにちゃんと馴染む家電を選ぶこと。人によっては、最新モデルがベストとは限りません。せっかく購入したのに、機能をすべて使いこなすことが難しかった…となれば本末転倒です。連携するアプリがシンプルで使いやすいか、今まさに困っているポイントを解決してくれるか、気負わず日常的に使い続けられるか、といったポイントも確認しておきましょう。家電量販店などで実際に触れたり、インターネットで口コミを見たりして、機能だけでなく使い勝手もしっかりチェックしてくださいね。
対話型生成AIを活用して家事の流れをスムーズに
――AI家電を取り入れる他にも、家事をラクにするアイデアがあれば教えてください。
ChatGPT、Gemini、Copilotなどの対話型の生成AIを使うだけでも、家事は格段にラクになります。働きながら家事や育児をしていると、やることが多すぎて「何から手をつけたらいいの?」と立ち止まってしまうことってありますよね。そんな時こそ、生成AIの出番です。例えば、やらなければいけないことをAIに伝えると、優先順位をつけてリスト化してくれます。さらに「まずは洗濯機を回しましょう、頑張って!」なんて応援までしてくれるので、ちょっと前向きな気持ちにもなれます。

対話型生成AIに家事をサポートしてもらうのも一手(画像素材 / PIXTA)
毎日の献立を考えるのがストレスという方も多いと思いますが、そんな時は冷蔵庫にある食材を口頭で伝えるか写真を撮ってAIに送れば、家族の人数や好み、調理時間に合わせた献立を提案してくれます。さらに、「今日の夕飯のメニューは○○○と○○○。支度を19時までに終わらせたい」と相談すると、「何時から炊飯を始めて、その間に下味をつけて、何時から焼き始めて…」と逆算で工程を組み立てて、きっちり時間内に終わるプランを提案してくれます。
家事は「体を動かすことが大変」と思われがちですが、それ以上に負担になっているのが「頭を使うこと」。朝食を作りながら、「夕飯はどうしよう?明日は買い物に行けないから今日行っておく?でも今日は子供が塾の日だからお迎えが…」なんて、常に考えごとがぐるぐる。これが精神的に消耗するポイントなんです。でも、AIにお願いしてスケジュールを組み立ててもらえば、提案に沿って淡々と進めるだけなので、考える負担が軽減できて気持ちがラクになりますよ。
――家事の進め方をAIに相談するという発想はなかったです!
私にとってAIは、賢い友達でありアシスタントのような存在です。何を相談しても怒らないし、「これは違う」と思ったら何度でもやり直してくれます。家事をうまく回すには、時間の配分、家族の好みや体調、そして「今日は疲れ気味だから簡単に済ませたい」というその日の気分など、さまざまな要素が絡んできます。だからこそ、決まりきった答えではなく、こちらの感情まで含めて寄り添いながら提案してくれる生成AIと家事との相性はとても良いと感じます。
ただし、現段階ではAIが誤った情報を生成する「ハルシネーション」という現象も時折見られます。AIがわからないことがあると、「わかりません」と言わずにそれらしい答えを出してしまうんです。大事な判断に関わる内容は、取扱説明書やメーカー情報など、一次情報を確認しながら利用するようにしてください。
――最後に、読者のみなさんへメッセージをお願いします。
現代に生きる人々は、日々の生活の中で本当にたくさんの役割を求められていますが、すべてを一人で抱えてしまうといつかパンクしてしまいます。だからこそAIやAI家電を相棒のように活用して、家事を仕組み化・効率化することが大切だと思います。物価が上がっている今、最初は出費かもしれませんが、最新のAI家電は家事をラクにしてくれるだけでなく、省エネ性能も高いというメリットもあります。デジタルの力を借りて、大切なご自身の時間とエネルギーをお子さんと過ごす時間や自分の趣味など、本当に大切なことに使っていけると良いですね。
毎年のように新しい機能が登場する家電ですが、AIの進化とともに家電もかなり進化していて驚きました。また、生成AIを使って家事を効率的に進めていく方法もあるなど、目からうろこな情報が盛りだくさんでした。一方で、国の想定によると、今後、生成AIの稼働が増えることでAIを支えるデータセンターでの電力消費量も大幅に増え、電気が足りなくなる可能性が指摘されています。生活が便利になっていく裏側で、どのようなことが起きているのか、私たちも考えていく必要がありますね。
本間朝子(ほんま あさこ)
知的家事プロデューサー。家事を「仕組みで回す」ことで、時間や気持ちに余裕が生まれる暮らし方を提案している。自身が仕事と家事の両立に悩んだ経験から、無理なく続けられる時短家事や、家電・デジタル技術を取り入れた家事の効率化を実践。メディアでの発信や執筆、講演のほか、企業や自治体向けに家事支援の講座づくりにも携わっている。主な著書に『60歳からの疲れない家事』『写真でわかる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり』(ともに青春出版社)など。
本間朝子オフィシャルサイト:https://honma-asako.com/
企画・編集=Concent 編集委員会