「電力会社」と聞いて思い浮かぶのは、「電気を作り、届ける」こと。でも実は、地域の発展のため、環境のためなど、他にもさまざまな活動をしていることをご存じでしょうか。今回は福井県・永平寺町を拠点にする北陸電力のハンドボールチーム「北陸電力ブルーサンダー」をご紹介。2024年9月に新設されるプロリーグへの参入も決まり、今注目が高まっています。
若さと勢いあふれる「北陸電力ブルーサンダー」
北陸電力には「北陸電力ブルーサンダー」という男子ハンドボールチームがあります。1990年に誕生し、1992年から国内最高峰リーグである日本ハンドボールリーグに所属しています。
創部から30年余りを積み重ねた歴史の中で、日本代表候補選手を複数輩出しており、日本ハンドボール界を牽引するチームの一つです。
日本リーグでのシュートシーン
ホームアリーナは、えちぜん鉄道・観音町駅から徒歩約5分にある「北陸電力福井体育館フレア」
22名のメンバーは、北陸電力グループの社員が半数、残り半数はその他の企業や自治体に勤める社員・職員です。平日は毎日朝から夕方まで各職場で働き、仕事を終えた夜に拠点である体育館に集結して練習をしています。シーズン中の週末であれば、試合日程に応じて全国各地への遠征も。
平均年齢は24.6歳と、日本ハンドボールリーグ内で最年少。そのため抜群のスタミナを誇り、“ブルーサンダー”のごとく電光石火の速攻(素早いカウンター攻撃)を武器としています。
18~30歳の選手で構成される若さあふれるチーム
昨年末、日本ハンドボールリーグは2024年にリーグをプロ化し、新リーグを創設すると発表しました。それに伴い、「北陸電力ブルーサンダー」は今シーズンいっぱいの2023年3月末で活動終了。4月からは同チームを母体とした新生クラブチーム「福井永平寺ブルーサンダー」として、新たな歴史を刻み始めます。
「プロに行くと分かってからは、やはりチームの空気が変わってきました」と話すのは、須坂佳祐選手兼監督。
「これまで以上に選手同士が厳しい言葉で意見しあったり、ライバル意識が強くなったり。プロになれるという期待感と、同時に緊張感が高まっているのがひしひしと伝わってきます。良い意味でピリッとしたムードで、次のステップへと上っているなという実感がありますね」
チーム最年長の30歳。今期よりチームの指揮官となった須坂選手兼監督
周囲からの注目も高まっているようで、「職場の同僚や上司から『新リーグにはどんな風に参加していくんや?』と声を掛けられることが多くなりました。そうやって話をしているうちに、ハンドボールのルールやポジション、選手のことにも興味を持って覚えてもらえたらうれしいですね。その分、プレッシャーも感じています」
ハンドボールの面白さ&ブルーサンダーの魅力とは
プロリーグ開幕に向け、これからますます盛り上がる日本ハンドボール界。そんなハンドボールの面白さについて藤坂知輝キャプテンは、「投げる・跳ぶ・走るという、スポーツにおけるダイナミックな動きの全てが入っているところ」と話します。
スピーディーなボールさばきからの強烈なシュートは圧巻
「選手同士が激しくぶつかり合う迫力もウリですね。とにかくスピード感がある試合展開で、次々とシュートが決まります。こんなに連続して得点が入るスポーツって、バスケットボールかハンドボールぐらいじゃないでしょうか。シュート&ゴールという、球技の試合において最も盛り上がるポイントが1度のゲーム中にたくさんあるのは魅力的だと思います」
さらに、「北陸電力ブルーサンダー」の魅力についてはこう話します。
「チームのコンセプトは、お互いを否定せず、相手をリスペクトすること。意見を言いやすい環境の中で、違う考えややり方が出たらまずは受け入れ、取り入れてから、さらに話し合うんです。チームの特色を定めてそれに全員で染まるのも一つの方法ですが、うちはそうではありません。みんなそれぞれ育んできたハンドボール感は違うわけですから、それを伝え合いながら尊重して、一人一人の個性や強みを生かすことを大切にしています」
小学3年生からハンドボール一筋。チームをまとめる藤坂キャプテン
こうしたチームづくりにより、「北陸電力ブルーサンダー」では全選手が生き生きと、楽しそうにプレーしている姿が見られます。
また、平均年齢が最も若いチームらしく、その伸びしろも注目ポイント。入部した時は無名だった選手が数年後に大きく化けて、リーグの得点ランキング上位に入る有名選手になることも珍しくないそうです。
選手の個性が光るプレーに注目
イベント出演やハンドボール教室などの地域貢献活動も活発に
「北陸電力ブルーサンダー」は地域に根差し、愛されるチームであることを大切に、地域貢献活動にも力を入れています。
例えば、地元のお祭りやイベントには積極的に参加し、地域の方々と交流。地元・永平寺町の「町民清掃の日」にはホームアリーナ周辺の道路を清掃するなど、町の一員としてボランティア活動に励んでいます。
また、2020年からは「永平寺町ふるさと大使」として、地域の魅力を発信する活動もスタート。試合で全国各地におもむいた際に、会場で永平寺町の観光PRを行っています。
永平寺町で除雪作業のボランティア活動を行う選手たち
福井県民応援チームとして、愛知県でのアウェイ戦で福井をPRする山崎選手
こうした多岐にわたる活動の中でも、特に力を入れているのがハンドボール教室です。地元小・中学校の体育の授業で生徒たちにハンドボールを教える、体力測定に向けてハンドボール投げを指導するといった取り組みを長年にわたり行ってきました。生徒たちからは「ハンドボールって面白い!」「ボール投げだけじゃなくて試合がしてみたい!」といった声が上がり、大盛況なのだとか。
ハンドボール教室の意義について須坂選手兼監督は、「まずはハンドボール人口を増やしたいというのがあります。実際、教室をきっかけに試合や練習を見に来てくれるようになった生徒や、ハンドボールを始めた生徒がいて、着実に次世代につながっていると感じています。また、参加した生徒たちから手紙をもらうことも多く、『頑張ってください』『応援しています』というメッセージがとてもうれしく、励みになっています」と話します。
子どもたちにとってハンドボールに興味を持つ大きなきっかけに
最後に、今後の目標について伺うと、「まずは日々、次の試合で思い切り戦えるよう準備を整えていくこと。そして一戦一戦、内容と勝利にこだわって戦っていくこと」と須坂選手兼監督。その先に見据えるのは、チームとして掲げる「日本一」の称号です。
さらに、チームから日本代表や、次の五輪出場選手を輩出することも大きな目標の一つ。年齢的にちょうどそのタイミングに当たる選手が多く在籍しているだけに目が離せません。
えちぜん鉄道観音町駅に設置されている、ふるさと大使「北陸電力ブルーサンダー」応援看板
また、プロリーグ新設に向けて、これまで以上にチームの露出や交流の機会を増やし、ファン獲得や地域との関係性を深めていきたい想いも。
「勝利はもちろんですが、さまざまな場面で皆さんに明るい話題をお届けしたいと思っています。子どもたちとその親世代の方々にもっと知っていただけるよう、例えば小学校の登下校の際に選手が通学路に立って見守りサポートができないかなと。密かな野望として、子どもたちの安全を守る活動を通し、北陸電力ブルーサンダーが“街のヒーロー”のような存在になれたら素敵だなと考えています」と須坂選手兼監督は意気込みます。
今までもこれからも、地域に根差し活躍を続ける「北陸電力ブルーサンダー」。2024年9月のプロリーグ新設を追い風に、さらに魅力的かつ身近なチームへと進化する様は見逃せません。お住まいの地域で試合が行われる際はぜひ会場へ足を運び、あふれる魅力を体感してみてください。
■DATA
北陸電力ブルーサンダー
住所:福井県吉田郡永平寺町松岡室21-5-3(北陸電力福井体育館フレア)
https://www.rikuden-bluethunder.com/
北陸電力
https://www.rikuden.co.jp/
<貢献する主なSDGsの目標>
■電気事業連合会
SDGsの達成に向けた地域共生の取り組み