東京からでも日帰りできる!「黒部ダム」1dayトリップガイド

2020.02.26

日本を取りまくエネルギーの今を伝えるべく、Concent編集部きっての好奇心旺盛なCon(コン)ちゃんが突撃取材! 第6回は番外編のおでかけレポート。雄大な山々と湖面がつくる絶景が魅力の観光スポット「黒部ダム」に。一度は見てみたいなーなんて思うけれど、ちょっと遠いし…と旅行のハードルはやや高め。でも、首都圏からなら、実は“日帰り”でも行けるって知っていますか?そこで編集部員のConちゃんが、東京から黒部ダムまで弾丸旅行へ行ってきました。黒部ダムの行き方&楽しみ方のすべてをお伝えします!

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Conちゃん、黒部ダムに1日で行ってみる!

Concent編集部のConちゃん、早朝に自宅を出発してJR東京駅に来た。目指すは「黒部ダム」。

車で行く方法もあるけど、今回は新幹線とバスで移動。

乗るのは、東京-長野の北陸新幹線。往復自由席で1万5620円(乗車券+特急券)だった。もちろん、少しお金を払って指定席にしたり、もっと安くしたりする方法もある。

新幹線は「かがやき」「はくたか」「あさま」なら、どれでもJR長野駅は停車するものの、1時間22分~1時間45分と移動時間がかわることと、「かがやき」だけは全席指定なのでご注意を。(※実際の運転ダイヤや料金などについては、運行会社公式サイトなどをご確認ください)

ということで、まずはJR長野駅へ。

ダムとは、発電や貯水、水量調節をするために、河川などの水をせきとめる大きな堤防のこと。

法律では、地下にも埋まっている本体(堤体:ていたい)からてっぺんまで全てを含めた高さが15メートル以上あるものが「ダム」と呼ばれていて、それ以下のものは「堰(せき)」や「ため池」というふうに区別されている。

ぼんやりとダムに思いを馳せているとすぐに…

ここからはバス移動。

バスの停留所は、JR長野駅東口を出て目の前にある「25番」乗り場。乗るのはアルピコ交通の「長野~大町線」というバスだ。

到着したらすぐに、バス停手前にある「科の木(しなのき) 東口店」という売店のカウンターで往復乗車券(大人4600円、子ども2300円)を買おう。

片道だと大人2800円になるので、往復の方がお得。

そしてこのバスが東京~黒部ダムアクセスの行程中、最も重要だ。

まず、バスは1時間30分~2時間に1本しかなく、予約は不可。乗車は先着順。

駅改札からバス停までは急いで歩けば5分。片道乗車券はバス車内でも購入できる。でも、乗り遅れたら待ちぼうけ…なのでお目当てのバスを決めたら、遅刻だけはお気をつけて。

そして、もう一つ注意したいのが「トイレ」。JR長野駅から下車する扇沢駅までの約1時間45分、トイレ休憩タイムがない。

なので、バス停近くにある公衆トイレには行っておいたほうが安心だ。

しばらく住宅街を走るものの、この先、道中には犀川(さいがわ)や北アルプスといった信州の豊かな景色も待ち受けているため、旅気分はきっと盛り上がるはず。

今回は広めの観光バスだったので乗り心地は快適。しかも、なんと座席の横に1席ひとつずつ携帯充電用のコンセントが付いていた。(※車両によって無い場合もあります)

この後に写真をたくさん撮ることを考えれば、ここでの充電は必須!

そのうち窓の外はのどかな風景に。川に沿って走り、森の中へ。途中、右手に小田切ダムという犀川にあるダムも目に入る。

富山県にある日本一の高さを誇る「黒部ダム」。

戦後にあった深刻な電力不足から、当時秘境とも言われていた黒部峡谷に造られた関西電力の電力施設で、黒部川第四発電所と合わせて「くろよん」と呼ばれている。

ダム好き、建築好きでもないのに、Conちゃんだけでなく「名前だけはほとんどの人が知っている」理由は、おそらく小・中学校の一部の教科書に載っていたから。


写真協力:関西電力株式会社

黒部ダムの建設工事が始まったのは1956年、完成したのが1963年。延べ1000万人もの人手によって、実に7年もの年月がかかった。

総工事費用は当時の金額で513億円、今の価値にするとざっと3000億円ほど。日本一高いあのタワーの建設費が約400億円とも言われているので、そのスケールの大きさは相当なもの。

国語の教科書にはその歴史が、社会の教科書には写真などが載っていたことで、多くの人が何となく知っているのかもしれない。

田んぼや白く可憐な花を咲かせるそば畑といった田園風景、信濃大町駅を過ぎてしばらくすると、日向山高原に入る。

道すがら、「日向山高原別荘地」という看板が見えてきたら、もう間もなく。

「終点扇沢~扇沢駅です~」

ここで、もし最短時間で黒部ダムまで行きたいなら、すぐに「電気バス」に乗り換えを。

乗車券は、バスを降りてすぐに見えてくる1階の窓口で購入できる(往復で大人2610円、子ども1310円)。

このバスもWEB予約などは不可、乗車も先着順だが、電気バスは7:30(4月15日~11月4日、他は8:30~)から30分ごとに出ているうえ、乗車時間は16分ほど。焦らなくても大丈夫。

黒部ダムに着いたらアップダウンの多い徒歩散策。それを考えれば、ここでひと休みを入れるのもいいかも。

扇沢駅の2階に上がり、バス停留所へ。

ここまで来たら黒部ダムはすぐそこ。もし混雑していても、複数台のバスが同時に出発するので、落ち着いて動こう。

実はこのバス、2019年4月から新しくなっている。

「トロバス」の愛称で54年間親しまれてきたトロリーバスがその役目を終えて、新たに「電気バス」に変わった。

架線から電気を得て走っていたトロバスからバッテリーを内蔵した充電式へと進化。電気バスも走行時に二酸化炭素を排出しないエコな乗り物で、レトロでかわいかったトロバスのデザインも引き継いでいるのだとか。

Conちゃん、トンネルを抜けて「黒部ダム」に立つ!

電気バスに乗って少しだけ山道を上るとすぐに入るのが「関電トンネル」。

扇沢駅と黒部ダム駅をつなぐトンネルで、全長は5.4キロメートル、最大13度の急勾配があるうえ、気温は夏でも10℃前後。

バス車内から見ても、かなり“いい雰囲気”を醸し出している。

それもそのはず。この「関電トンネル」こそが、黒部ダムが教科書にまで載るほどに超有名な難工事となった、まさにその現場。

通称“くろよん”建設で最も大変だったとされるのが、秘境とも呼ばれる山の中に、膨大な資材や機材をどうやって運ぶのか、というところ。

結果、「トンネルを造ろう!」となったのだが、通す場所は厳しい冬を迎える富山県と長野県の間にある山岳地帯。

1956年8月に長野県大町市側からのトンネル工事開始から9カ月後、県境手前約400メートルの地点で、「破砕帯」と呼ばれる軟弱な地層に遭遇。大量の土砂と毎秒660リットル、4℃という冷たい地下水が噴出した。

それでも、くろよん建設にかける関西電力の思いは強く、一時中断したものの工事は続行。

国内外のさまざまな技術を結集して…もう、とにかくみんな頑張った!そうだ。

破砕帯に遭遇してから7カ月後、ようやく全長約80メートルもの破砕帯を突破。その後、1958年5月に現在の関電トンネル(旧、大町トンネル)が開通したのだ。

電気バスが到着する黒部ダム駅はトンネルの中。夏場でもわりとひんやりする。

駅から中に入ると、黒部ダムまでの道が上り階段と下り階段の2つに分かれている。

上りは「ダム展望台」に、下りは「ダム湖」の目の前に出られる。

外に出ればつながっているので、後で回ることはできるものの…

【上り】最初は大変、後は楽ちん。最初に展望の景色が見られるので、「これぞ黒部ダム!」とすぐに味わえる
【下り】最初は楽ちん、後は大変かも…。出口に着いたら「ほんわか」できる

と大きな違いがある。

220段の階段を上り切ったら見える光景が…

60段の階段を下り切ったら見える光景が…

好みで選ぼう。

今回は、最初に大迫力を感じるため、220段を上り切って「ダム展望台」に。

ここは、北アルプスの大パノラマが広がる標高1508メートルに位置し、黒部ダムを真下に見下ろせる絶景スポット。


写真協力:関西電力株式会社

すぐ下のフロアに休憩所や売店もあるので、疲れた足を労わるのも忘れずに。

黒部ダムは、「堰堤(えんてい)」と呼ばれるダム壁の幅が492メートル、高さは186メートルもある。展望台からは、その全貌を一望することができる。

そして、黒部ダムで一番の見どころが、100メートルを超える高さから毎秒最大15トンもの水を流す「放流」(観光放水)だ。

実物をよーく見ると分かるが、水がそのままドバーっと出ているわけではない。

実は真下にある岩盤への衝撃を小さくするために、霧状に水を出している。

そのため、天気が良ければダムの中にキレイな虹が描かれることも。もし行くなら、晴天の“黒部ダム日和”な日を狙いたい。


写真協力:関西電力株式会社

ただし、観光放水は期間限定。毎年6月26日から10月15日までなので、ご注意を。(※時期により時間は異なる。天候などにより中止する場合があります)

最上部の展望台まで上れば、あとはいろいろ見ながら下るだけ。「外階段」と呼ばれる長い階段をゆっくり降りていこう。

階段の途中には、さまざまなものが展示されている。

「ケーブルクレーンの滑車」や「コンクリートバケット」といった当時の建設工事に使われた機材を見ることができる。

外階段に沿って降りていくと到着するのが「レインボーテラス」という場所。

放流の様子をさらに近くで見られるので、迫力と水しぶきを感じたければ、必ずここへ。

近くには、建設時の地面に残ったダンプカーや足跡のモニュメントがあったり、黒部ダムの壮絶な建設工事を描いた映画『黒部の太陽』のトンネルセットなども展示されたりしている。

トンネルセットの手前では、くろよん建設の歴史などを分かりやすくパネルで解説。

立ち寄ってみるとダムの見え方も、かなり変わってくるはず。

ちなみに『黒部の太陽』は、俳優の三船敏郎と石原裕次郎が主演した昭和の超大作映画。

当時の映画製作費が平均3000~4000万円だったのに対し、『黒部の太陽』の総製作費は約4億円。

黒部ダムは、工事も映画もスケールが大きすぎる!

Conちゃん、日本最大のアーチ式ダムを見る、歩く、食べる

放流する黒部ダムの反対側を見ると、広大なダム湖が広がっている。

黒部ダムの総貯水量は約2億トン(=立法メートル)。一般的にお風呂の浴槽にためるお湯は200リットル(0.2トン)ほどなので、浴槽10億杯分の水がためられることになる。

また、一般的にダムは、「アーチ式」や「重力式」といった“型式”と呼ばれる種類で分けられている。その中でも黒部ダムは、「カーブを描くアーチ式をベースに、両サイドを重力式で支える、コンクリート造りのダム」という少し特殊なものだ。

正式には、「アーチ式ドーム越流型コンクリート造り(ウィングダム直線重力式非越流型)」という名前の型式。きっと覚えなくてもいい。

ダムがすごすぎて頭に浮かんでこないかもしれないが、黒部ダムは「発電専用」のダムだ。

黒部ダムの水を利用して発電する「黒部川第四発電所」は、ここからさらに下流にある。

ただ、絶対にその姿を見ることはできない。それは…


写真協力:関西電力株式会社

地下200メートルの場所にあるから。

1961年に1・2号発電機が運転を開始した黒部川第四発電所。「完全地下式」という世界的に見てもまれな発電所と言われている。

発電所があるのは、ダム湖左側にある取水口から、距離約10キロメートル、有効落差545.5メートルの先。水力発電に使われた水は、その後、再び黒部川に流れていくそう。

最大33万5000キロワット(kW)の出力を持つ黒部川第四発電所は、運転開始から半世紀たった今でも、関西圏の電力を支えるために、現役で働いているのだ。

急いでいろいろ見て回ると、そろそろお腹がすいてくる。

黒部ダムを眺めながらひと休みできる「黒部ダムレストハウス」に。

2階のレストランでは「黒部ダムカレー」(1100円)や「アーチダムカレー」(900円)が、1階の売店では「幻の埋蔵金ソフトクリーム」(1000円)が食べられる。

>>「黒部ダムカレーの誕生秘話」を詳しく知りたいならこちら

売店には、他にもフランクフルトやタイ焼き、ビールまで、さまざまな「黒部ダムグルメ」が満載。

ただし、売店は7:30~17:00(11月5日からは8:30~16:30)までオープンしているものの、レストランは9:00~15:00(11月5日からは10:00~14:30)と早めに終わってしまう!レストランがクローズする前にダムカレーは食べておこう。

また、3階からはダム湖と堰堤が見えるテラスに出ることもできる。

来るときに乗った電気バスのモニターに映っていた黒いネコ、黒部ダムのマスコット「くろにょん」は、だいたい堰堤の上を歩いているらしい。

雨が降ると扇沢駅にも出没するそうだが、なぜかこの日は会えなかった。

黒部ダムレストハウスの1階と2階には全700アイテムほどがそろうお土産ショップがあり、黒部ダム色100%のグッズが多いので、ここまで来た自分へのご褒美をぜひゲットしたい。

そうこうして黒部ダムレストハウスを楽しんでしまうと、もう夕方に。

黒部ダム駅発の最終バスは17:35(4月15日~11月4日、他期間は16:35が最終)。

ダム湖には、日本一高所にある遊覧船や湖畔の周りを散策できる遊歩道などもある。全部回るとなると、そこそこの時間がかかるので、“終バス”に乗り遅れない時間配分を。

17:51に扇沢駅に到着したら、もう後はずんずん戻るだけ。

JR長野駅行きのバスは18:05発が最終便(~11月4日、以降は16:40発が最終)。これを逃したら、もう周辺で泊まるしかない…。

そして、JR長野駅で北陸新幹線に乗れば…

22:12に新幹線、到着。見事、その日のうちに、JR東京駅まで帰ってくることができる。

実際に丸一日かかるものの、しっかり観光の時間も取れるし、地元グルメも楽しめる。泊まりは難しいな~という理由で「黒部ダム」を避けていたなら、今度の休みに日帰りで行ってみるものいいのでは。


【黒部ダム1dayトリップDATA】
◆経路:JR東京駅⇔(北陸新幹線)⇔JR長野駅⇔(アルピコ交通バス)⇔扇沢駅⇔(電気バス)⇔黒部ダム駅⇔(徒歩)⇔黒部ダム
◆所要時間:14時間57分(+JR東京駅~Conちゃんの家)(行き5時間57分、滞在4時間13分、帰り4時間47分)
◆交通費:往復2万2830円(新幹線1万5620円、バス合計7210円)

◆アルピコ交通バス(長野駅⇔扇沢駅)
https://www.alpico.co.jp/traffic/express/nagano_omachi/

◆電気バス(扇沢駅⇔黒部ダム駅)
https://www.kurobe-dam.com/access/

※価格は全て消費税込(10%)
※出発・到着時刻、乗車時間などは2019年8月末時点の情報で記載しています
※購入方法等で料金は異なる場合があります