燃料としてのイメージが最初にくる石油。しかし、石油から作られているものは多種多様で、私たちの生活の中に入り込んでいます。例えばプラスチックやタイヤなどに使われている合成ゴム、身近な所では服に使われている合成繊維、ビニールなどの原料にもなっているのです。
過去には1970年代に石油危機(オイルショック)があり、その際は経済の混乱が起き、物価の上昇、物品の買い占め、節電などの社会現象が起きました。そして、エネルギーの8割近くを輸入原油に頼っていた日本は、エネルギー政策の見直しがはかられることとなりました。
では、地球に埋まっている石油は、いつか掘り尽くされてなくなってしまうのでしょうか。時々ニュースで「あと何年」などと言っているのが気になるところ。当時は「あと30年」などと言われたものですが、その30年はとっくに過ぎました。では、なぜ石油はなくならないのでしょうか。
『エネルギー白書2018』によると、世界の石油確認埋蔵量は2016年末時点で1兆7,067億バレル、2016年の可採年数は50.6年とのことでした。あと50年ほどだと聞くと心細い気もしますが、じつは可採年数というのは、現在の技術のもと、経済的に採掘することが可能であると考えられる石油の埋蔵量を、その年の石油生産量で割った値のことをいいます。そのため、技術が進歩したり、原油の価格が上下したりしても変動する試算値であり、石油が後何年で枯渇するという意味合いのものではないのです。
出典:石油連盟(今日の石油産業2018)
2000年代後半には、米国でシェールと呼ばれる種類の岩石の層に含まれている石油や天然ガスの掘削を可能とする新しい技術が開発されるとともに、経済的に見合ったコストで掘削できるようになりました。いわゆる「シェール革命」です。
近年では、米国のシェールオイルや、ベネズエラやカナダにおける超重質油の埋蔵量が確認され、可採年数は増加傾向となっています。とはいえ、限りある資源であることに変わりはないエネルギー、有効利用が大切です。
参考・出典『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
(雑学総研/KADOKAWA)
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★オイルショックについてもっと知りたい方はこちら!
「石油がとまると何が起こるのか? ~歴史から学ぶ、日本のエネルギー供給のリスク?」(経済産業省 資源エネルギー庁スペシャルコンテンツ)