しまなみ海道のお隣で壮大なプロジェクトが進む! 「大崎クールジェン」に突撃取材!(前編)

2020.03.17

日本を取りまくエネルギーの今を伝えるべく、Concent編集部きっての好奇心旺盛なCon(コン)ちゃんが突撃取材! 第7回は、広島県・大崎上島町にある「大崎クールジェン」へ。瀬戸内に浮かぶ島の一つで行われていた地球を救う壮大なプロジェクト。その全貌をConちゃんが2回に渡ってお伝えします!

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Conちゃん、島に渡る!

今回、Conちゃんがやってきたのは広島県。

エネルギーや地球温暖化を止める方法をいろいろと勉強していたら、環境に配慮した発電方法を研究する「大崎クールジェンプロジェクト」という計画があることを耳にした。

そこで、プロジェクトを進める大崎クールジェンという会社がある、広島県の離島・大崎上島(おおさきかみじま)を目指している。

大崎上島は瀬戸内の島々を自転車で巡る観光スポットとして有名な「しまなみ海道」のちょっと西にあり、人口は約7500人とそこそこ大きい島。

ただ、本州と橋でつながっていない。なので……

船に乗ること30分。港から歩くことさらに30分。

東京から約7時間かかり、ようやく「大崎クールジェン」に着いた。

大崎クールジェンは、大崎上島にある長島という小さな島にある。離島の離島。こんな場所で進められている「環境に優しい発電方法の研究」ってどんなものなのだろう。早速聞いてみた。

久保田「ここは、『究極の石炭火力発電』を作ろうと実証試験と研究をしている会社だよ。大崎クールジェンという会社名は、環境に配慮した石炭火力発電を目指すという日本の政策『Cool Gen計画』を実現しようという思いが込められているんだ」

久保田「IGCC、IGFCとCCSを組み合わせた『革新的低炭素石炭火力発電』の実現を目指す実証試験研究プロジェクトのことなんだけど……」

久保田「IGCCは『石炭ガス化複合発電』、IGFCは『石炭ガス化燃料電池複合発電』、CCSは『CO2(二酸化炭素)の回収・貯留』のことで……」

久保田「つまり、これを組み合わせると、さっき言った『究極の石炭火力発電』ができるってこと。これが実現できると、革新的なんだ」

久保田「確かにそうだよね。でも、エネルギーの資源がほとんどない日本にとって、石炭はとても重要なものなんだよ」

久保田「ポイントは3つ。1つ目は、石油や天然ガスといった他の化石燃料に比べて、採掘できる量が豊富なこと。2つ目は、採掘できる場所が世界中にあって、比較的に政治が安定した国が多いから、輸入できなくなるという心配が少ないこと。3つ目は、量も採掘場所も多いから、安定して価格が安い!」

久保田「世界に比べると、日本はエネルギーを自給できる割合が9.6%(2017年)とかなり低い。だから、供給力の安定性が高くて、経済的にも優れている石炭火力は、“日本の電源”のバランスを取るのには不可欠なんだ」

久保田「外国の政治や経済、社会情勢に左右されず、適正な価格でエネルギーを安定して供給する『エネルギーセキュリティ』という考え方があるんだけど、こういった特徴を踏まえると、日本という国では重要な資源ということになるよね」

Conちゃん、大崎クールジェンプロジェクトを知る!

プロジェクトの全貌を知る前に、石炭の重要性を知ったConちゃん。でも、「ストップ地球温暖化」の時代に日本は逆行しているんじゃ……。

久保田「そういうわけでもないんだよ。地球温暖化を止めるために、世界規模でCO2の排出量を削減していこうとしているのは知ってるよね」

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久保田「でも実際、世界の発電電力量の約4割は石炭火力。今でも最も大きな割合を占めているんだよ。風力発電といった再生可能エネルギーの導入が進むドイツやデンマークでも、電力を安定させるために使われているし、日本でも約3割は石炭火力。つまり、今の社会を維持していくために、簡単に『ゼロ』にはできない発電方法と言えるのかな」

久保田「出ちゃうね。だから、大崎クールジェンプロジェクトを進めているんだよ。資源も豊富で安いから、本当はみんな使いたい。でも、CO2の排出量は減らさなければ地球が危ない。なら、石炭で発電しても、CO2が出ないようにすればいい。それを実現しようとしているってこと」

久保田「さっき『IGCC』『IGFC』って言ったの覚えてる? それがその技術のこと。簡単に言うと、石炭をガスにして、ガスタービンを回す。それで発電機を動かして発電する。さらに、ガスタービンを回し終えた排ガスは、まだ十分な余熱があるから、IGCCでは、この余熱を使って水を沸騰させ、蒸気タービンを回し、ダブルで発電する。加えて、IGFCでは、途中でガスから分離させる水素を使い、燃料電池で発電するっていう、トリプル発電の仕組みを作ろうとしているんだよ」

久保田「ガスと蒸気で同時にタービンを回して発電する技術は既にあるものだし、燃料電池は自動車で使われているのは知っているよね。だから、基本的には全て世の中にある技術なんだけど、こういったさまざまな技術を発電所の中に組み込んで、石炭火力発電の『究極の複合化技術』を生み出すのがゴールなんだ」

久保田「そこで重要になるのが、CO2を分離して回収する技術。石炭は、燃やすとCO2が出るよね。排出されたCO2を集めるのは大変なんだけど、燃やす前に回収できる技術があるんだ」

久保田「これが全て実現できれば、今動いている多くの石炭火力発電発所と比べて、発電効率は約7ポイント上がるし、CO2の排出量は90%以上も減らせるんだ」

Conちゃん、世界からの熱い眼差しを感じる!

大崎クールジェンは、いろいろな技術を組み合わせて、CO2をできるだけ出さずに石炭で効率的に発電する方法を考えていることがわかったConちゃん。

久保田「実は、研究自体が始まったのは1981年、だから約40年前だね。三菱日立パワーシステムズ(MHPS)が始めた研究から実験を繰り返していって、規模をどんどん大きくして、現在の大崎クールジェンで大型の実証試験ができるようになったんだ」

久保田「そうだね。この技術が実現すれば、日本だけでなく、世界中の石炭火力発電所のリプレイス、つまり入れ替えに使えるよね」

久保田「日本の石炭火力発電所は、40~50年くらい使われてきた設備がたくさんあって、そろそろ入れ替えなければならない時期。地球のことを考えたら、従来のものと同じ仕組みの設備は入れられないよね。だから、この技術は必然的に求められるようになると思っているよ」

久保田「それに、世界中で、特にアジアではこれからも石炭がたくさん使われるだろうから、CO2を出す量を小さく抑えながら、たくさんの電気をつくることができれば、求める国は多いと思うんだ。インドネシアやオーストラリアといった“産炭国”からも大崎クールジェンへ視察に来ているんだよ」

久保田「国内からもたくさん視察に来ていて、商業、産業、地方自治体、ガスの関連団体といった人たちが、一年で1000人以上この島に訪れているね。まず知ってほしかったことはこんなとこかな。さてと、じゃあそろそろ実証試験をやっている実際の設備を見に行こうか」

大崎クールジェンプロジェクトが今、どうして必要なのかを知ったConちゃん。いよいよ、その現場に向かう。でも、「CO2ってどうやって回収するんだろう?それに回収した後は……?」その先に迫る!

後編に続く


取材協力:大崎クールジェン

住所:広島県豊田郡大崎上島町中野6208-1
電話:0846-67-5250
https://www.osaki-coolgen.jp/

撮影協力:安芸津フェリー
http://sanyo-shosen.jp/akitsu/index.html


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