「再処理工場」っていつから動く? 電気料金は上がる? 日本原燃に突撃インタビュー(後編)

2021.02.25

日本を取りまくエネルギーの今を伝えるべく、Concent編集部きっての好奇心旺盛なCon(コン)ちゃんが突撃取材! 第15回は、前回に続いて日本原燃さんにオンラインインタビューしました。原子力発電の使用済燃料を再処理すると、どんなメリットがあるのか? 電気料金は上がるのか? Conちゃんがリポートします!

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Conちゃん、再処理後のプルサーマルを知る!

原子力発電所で使い終わった燃料(使用済燃料)を、もう一度使えるようにするため「再処理」する青森県六ヶ所村の再処理工場。

「再処理しなきゃダメなの?」と思ったConちゃんは、前回、初めてのオンライン取材で日本原燃株式会社(以下、日本原燃)広報グループの四十物春奈(あいものはるな)さんに、再処理する目的や方法などを教えてもらった

前編はこちら『「原子燃料サイクルって必要なの?」日本原燃に突撃インタビュー(前編)』

使用済燃料は再処理工場で使える部分と使えない部分に分けられ、リサイクルされて、再び燃料としてエネルギーになる。

この大きな流れを「原子燃料サイクル」と呼んでいて、使える部分であるウランとプルトニウムを元にリサイクルしてできるのが「MOX燃料(Mixed Oxide燃料、混合酸化物燃料)」だ。

四十物「プルトニウムの入ったMOX燃料を一般的な原子力発電所(サーマル・リアクター)で使用することを、和製英語で『プルサーマル』って呼んでいるんだけど、聞いたことないかな?」

出典:一般財団法人 日本原子力文化財団サイト『エネ百科』より

四十物「確かにMOX燃料は、通常の燃料(ウラン燃料)より放射線がやや強くて熱の伝わり方も違うから温度が高くなる傾向があるの。でも、原子炉の中に入れる燃料のうち、MOX燃料が3分の1以下なら、通常の燃料と大きな差はないとされているんだ。今、国内にあるプルサーマル炉(プルサーマルを行える原子炉)でも、そういうふうに運用されているよ」

四十物「日本では1980年代から1990年代にかけて行われた実証試験で、安全に発電できることが確認されているんだよ。フランスをはじめ世界の国々では1960年代から利用されていて、国際的な実績は豊富。もちろん日本では国の規制委員会による世界最高水準の審査に沿って、安全最優先で進められていて、九州電力の玄海発電所をはじめとして国内の4ヵ所の原子力発電所で使用した実績があるんだよ」

四十物「そもそもプルトニウムは、発電に使ったときにウラン燃料から生まれてくるものなんだよ。実はこのときに発生したプルトニウムって、現在の原子力発電所の中でも発電するための燃料の一部になっているの。つまり、普通の燃料で発電しているときも、原子炉の中はプルサーマルと同じような状態になっているの」

四十物「原子力発電所の燃料になる天然のウランは、地球から採れる鉱物の一つ。だから限りがあるよね。石油や天然ガスなどを含めて、エネルギー資源のほとんどを輸入に頼っている日本の未来を考えると、今あるものをどうやって使っていくのか真剣に考えていかなければならないんだ。プルサーマルは“資源をリサイクルする”という点で、エネルギーの有効活用を図れる手段の一つなんだよ」

四十物「私たちの子どもや孫、その先の世代のためを考えると、この仕組みは必要なものだと考えているんだ。現在、日本国内で稼働している原子力発電所は9基。このうち、プルサーマル炉は4基。原子力発電所を運営する電力会社は、新たなプルサーマル計画を発表して、2030年度までに少なくとも12基でプルサーマルを実施することを目標に掲げているんだよ」

参考:電気事業連合会『新たなプルサーマル計画について』(2020年12月)

 

Conちゃん、電気料金の値上げを疑う!

ウラン燃料が原子力発電所で使われ、MOX燃料、プルサーマルへ。原子力発電の燃料が進んでいくサイクルの仕組みを知ったConちゃん。

でも、これが実際に動き始めたら、毎月払っている電気料金にその分が上乗せされるんじゃ……。

四十物「法律で定められた電気料金だから、勝手にというわけではないんだよ。これまで日本は長い間、原子力発電所を動かしてきたよね。そこで発生した使用済燃料の処理や処分をするために必要な費用は、原子力発電所を持っている全ての電力会社が販売した電気の量に応じて支払っているの。将来的に必要になるから、さっき言った使用済MOX燃料の再処理のための費用もね」

四十物「電力会社が払っている費用は、『使用済燃料再処理等既発電費相当額』という法律に定められた電気料金の一部として、電気を使う全ての家庭や企業から平等に集めているんだよ。これは、全国につながる電線を使っていれば、どんな電力会社から電気を買っても同じことなんだ」

四十物「そういうわけでもないんだよ。発電所の種類別で建設費や運転維持費、燃料費などで計算される『発電コスト』の試算というものがあるの。原子力発電所は40年間、70%の能力で動かしたとして費用を計算すると、1キロワット時(kWh)当たり10.1円程度なんだよ」

出典:総合資源エネルギー調査会 発電コストワーキンググループ『長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告』(平成27年4月)を加工して作成

四十物「10.1円のうちの1.5円が原子燃料サイクル全体の費用、その中の0.5円が再処理の費用。これが電気料金の基準になるんだけど、原子力は既に原子燃料サイクルや廃棄物の処分などにかかるすべての費用が盛り込まれているの」

出典:経済産業省 資源エネルギー庁サイトスペシャルコンテンツ『原発のコストを考える』より

四十物「それに、例えば火力発電所だと、石油や天然ガスといった燃料を海外から買って持ってくることにかかる費用が運営コストの多くを占めるんだよ。使う量は多いし、再利用できないから使い切り。それでいて価格変動の影響も大きいし、かなり大きな金額になるの。円相場が安くなれば価格がグンッと上がったりするの。一方で原子力発電所は、一度燃料を仕入れれば長く使えるし、発電する能力も高い。燃料費の割合もそんなに大きくないから、価格高騰に左右されにくい」

四十物「海外に払う資源の購入費用というのもバカにならなくて…。東日本大震災以降に原子力発電所が停まったことで、2011~2016年度の6年間で追加の燃料費は15.5兆円。消費税がたとえ1%でも一千数百億円って大きさなんだよ。この費用は、国民一人当たりの負担で換算すれば約12万円。燃料をリサイクルすれば、私たち国民が作った国の財産が国外に出ていくことを防ぐ効果もあると思うんだ」

四十物「日本の食料自給率が40%を下回って大問題って言われているよね。でも、エネルギー自給率は11.8%で、もっと低い。今、自動車や半導体で日本は世界をリードしているでしょ。そういった産業は、製造時などにたくさんの石油や天然ガスが必要になるの。といっても輸入量は限られている。日本の強みである他の産業のことを考えたら、節約できるエネルギー分野が節約した方よくない?」

四十物「原子燃料サイクルがスムーズに回れば、電気料金の安定化や日本の経費削減、資源の有効な分配が図れる。そういった社会全体のメリットは大きいと思うんだ」

 

Conちゃん、再処理工場のこれからに期待する!

日本のエネルギー確保のため、そして日本の資源とお金を守ることにつながる原子燃料サイクルに感心したConちゃん。

本格的にはまだ動いていない六ヶ所村の再処理工場は、実際いつから動き始めるのだろう。

四十物「1993年から建設し始めていて、実はほぼ完成しているんだ」

四十物「2011年の東日本大震災で発生した福島第一原子力発電所の事故の経験をもとに、国の規制基準がとても高くなったの。その基準に合うよう設計などを変更していって時間がかかったけれど、2020年7月にようやく国の安全審査に合格したんだ」

四十物「新規制基準は、2013年7月に施行された原子力施設の設置や運転の可否を判断する国が定めた新しい基準。地震や津波対策が強化されて、新たにその他の自然災害や重大事故対策、テロ対策が追加。その結果、“世界一安全対策に厳しい規制基準”になったんだよ」

四十物「想定外のことへの対処法まで計画しなければ合格できないから、何百回もの審査を受けて一つ一つ細かく答えていったんだ。例えば、審査のために400メートルくらいの大きな穴を掘って、直接断層がないことを確認したんだよ」

四十物「客船が入るくらいの巨大な穴(トレンチ)だったんだよ。審査にかかった期間は6年半。時間と手間と労力をかけて、ようやく合格したところなんだ」

四十物「将来的に予測されている中国やインドの人口爆発。こうした国々の生活水準が上がると、必ずエネルギーの争奪戦が起こるの。そうすると……」

四十物「日本が今持っている資源を有効に使って、エネルギーを安定して供給させるためには、再処理工場はなくてはならないの。それに、青森県民にとっては別の意味でも意義があることなんだよ」

四十物「日本原燃には約3000人の従業員がいるんだけど、そのうちの60%以上が青森県出身なの。私もその一人。今年の新入社員だと、81人のうち69人が青森県民。かなりインパクトのある数字じゃない?」

四十物「その他、現在は新規制基準の安全性向上工事で毎日5000人くらいの人がサイクル施設で働いていて、大きな雇用が生まれているんだよ。私が地元で暮らし続けることができるのも、この工場があるからかなぁ、と思っているよ」

四十物「もちろん、青森県と六ヶ所村の協力があってできていることだね。夏には、地元の方々と毎年社員寮でお祭りをして盛り上がることもあるんだよ」

四十物「近い将来から遠くの未来までのことを予測して、日本に暮らす人たちの豊かな生活を守るために考えた対策の一つが再処理工場であり原子燃料サイクルなんだ。この先、どんな未来が待っているのかは誰もわからないけど、将来設計は大事だよね」

使用済燃料の再処理工場は、原子力発電に使われるエネルギー資源のサイクルの輪をつなぐ要となる。世界の変化に取り残されないために、日本が今できる対策の一つが、この輪をつなぐこと。

日本全体、さらには青森県の経済も支える日本原燃や再処理工場のこれからに期待したConちゃんでした。


取材協力:日本原燃株式会社

青森県六ヶ所村に本社を構え、原子燃料サイクルの中核を担う。日本のエネルギーの安定供給を目指して、ウランの濃縮、使用済燃料の再処理、MOX燃料の製造などの5事業を展開している。社員の6割以上が青森県出身者。略称はJNFL。
https://www.jnfl.co.jp/ja/

★さらに「原子燃料サイクル」について知りたい方はこちら!

『「使用済燃料」のいま~核燃料サイクルの推進に向けて』(経済産業省 資源エネルギー庁スペシャルコンテンツ)