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「カーボンニュートラル」で何が変わる? 環境経済の専門家に聞いてみた(後編)

2021.11.10

日本を取りまくエネルギーの今を伝えるべく、Concent編集部きっての好奇心旺盛なCon(コン)ちゃんが突撃取材! 前回に続き、第19回のテーマは「カーボンニュートラル」。何気なく、国や企業が二酸化炭素を減らしていくんだろうと考えていたが、実は私たち国民こそがキーパーソンになるかもしれない。これから訪れる未来の変化を、Conちゃんがお伝えします!

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Conちゃん、カーボンニュートラルに関わりたくなる

 

2050年の実現に向けて、世界が進めるカーボンニュートラル。

実はそうとう高い目標を掲げていた日本は、達成に向けてそこそこうまく進んでいるらしい。

>日本って「カーボンニュートラル」に乗り遅れてない!? 環境経済の専門家に聞いてみた(前編)はこちら

 

 

2050年まで残り30年足らずだけど、あまり心配しなくて大丈夫なのかも。

国や企業が進めるプロジェクトなら、僕たち一般人にできることなんてないだろうし…。

 

 

馬奈木「例えばヨーロッパなどでは、流通コストがかからない上流のものを買う、高くても環境に優しい商品を買うという動きが活発です。日本の消費者も、ゆっくりとそうした意識が育ってきています」

 

 

馬奈木「カーボンニュートラルを目指すためにも、これからはより『サステナビリティ』へ向かい、『ウェルビーイング』が重要視されていくでしょう」

 

 

馬奈木「例えば、睡眠とストレスについて考えると…」

 

 

馬奈木「快適さのプラスと、CO2排出のマイナスの両面を考えながらウェルビーイングを高め、それをサステナビリティなものにしていく。『地球のために、死ぬまで頑張りましょう』なんて考えだと、持続可能ではないですし、誰も幸せになれませんよね」

 

Conちゃん、省エネ家電への買い替えがカーボンニュートラルだと知る

 

ウェルビーイングとサステナビリティ。「ずっと続く幸せ」なんて誰もが欲しいはず。

ということは、カーボンニュートラルって僕の暮らしや人(豚)生にものすごく関係があることなのかも?

 

 

馬奈木「多くの人にとって、幸せは仕事とプライベートの中で見いだせると思います。まず仕事は、新しく事業を始めたり、誰かに求められたりするのは幸せでしょう。自分の仕事にカーボンニュートラルを適応させる方法を考えるといいかもしれませんね」

 

 

馬奈木「例えば、勤めているのがIT関係の会社だったら、ユーザーが簡単にカーボンニュートラルにかかわれるアプリを提案するとか、製造関連の会社なら、製品や工程についてCO2削減の改善方法を考えてみるとか。これらは利益向上だけでなく、ユーザーの満足につながるため、企業にも市民にもウェルビーイングでサステナビリティ。最終的にカーボンニュートラルにも貢献できます」

 

 

馬奈木「プライベートは難しく考えずに、新しい物を買う際の意思決定で役立てればいいと思います。自分の快適度を優先しながら、効率の良いエアコンや燃費の良い自動車を選ぶだけです」

 

 

馬奈木「もちろん、節電やゴミ拾いも悪いわけではありません。ただ、短期的な効果はあるかもしれませんが、5年10年使うものを買う大きな意思決定の方が、トータルとしての影響は大きくなります。『我慢しましょう』は効果があるように思えますが、新たなトライアルをすることこそ、これからの時代には適しているでしょう」

 

 

Conちゃん、カーボンニュートラルに親近感がわく

 

家電の買い替えも、カーボンニュートラルにつながることを知ったConちゃん。

国策というイメージだったけれど、なんだかとても身近なものに感じてきた。

国も企業も個人も前向きに捉えてきているなら、もう難しく考えなくてもいいんじゃないか?
 

 

馬奈木「確かに少しずつ前には進んでいます。ただ、あと何年で特定の課題を実現しないとダメだと言いながら、あまり大きく変わらなかったのが日本のここ10年です。国の政策も大事ですが、海外や大手企業の動きの方が消費者やそのほかの企業への影響力が大きく、急に進展させるかもしれません。実質、それが国の方針にも間接的に影響していきます」

 

 

馬奈木「私の身近なところだと、福岡県久山町で『J-クレジット』の実証事業。J-クレジットは設備などによるCO2排出削減量と、森林管理によるCO2吸収増加量を、クレジットとして国が認める制度です。昔は誰も買わなかったんですが、今はまったく反応が違います」

 

 

馬奈木「まだ小さな動きですが、カーボンニュートラルに向けた実現可能なビジネスの一つです。小さくとも、こうしたトライアルを成功させ横展開していければ、大きな変化を生み出すかもしれません」

 

 

馬奈木「今でこそ2050年達成を目指していますが、世の中のトレンドが動けばそうした設定は変わる可能性もあります。なので、『○%削減』といった遠い未来の数値目標にとらわれず、個人や企業がサステナビリティ、ウェルビーイング、そしてカーボンニュートラルという指針を見失わないことが大事です」

 

 

世界が推し進めるカーボンニュートラルは、どこか遠くの話で誰かがやってくれていると思っていたけれど、意外と自分に関係する身近な話だった。

馬奈木さんは、「テストで40点の子どもがいたら、努力して60点、次は80点と少しずつ100点に近づいていくはず。長期目標は目標として、あくまで次のステップに進むことが大事」と言っていた。

最初の一歩を踏み出すために、まずは家電のカタログでも眺めてみようと思ったConちゃんでした。


取材協力:馬奈木俊介

九州大学主幹教授・都市研究センター長、九州大学 大学院 工学研究院都市システム工学講座教授、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)代表執筆者ほかを兼任。九州大学大学院工学研究科修士課程修了。米ロードアイランド大学大学院博士課程修了(Ph.D)。著書に『ESG経営の実践 新国富指標による非財務価値の評価』『SDGsの実践 ~自治体・地域活性化編~』など多数。

★さらに「カーボンニュートラル」について知りたい方はこちら!
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて(電気事業連合会)
「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?(経済産業省 資源エネルギー庁スペシャルコンテンツ)
「カーボンニュートラル」って何ですか?(後編)~なぜ日本は実現を目指しているの?(経済産業省 資源エネルギー庁スペシャルコンテンツ)