エネルギー資源のリサイクル工場って今どうなってる?青森県六ヶ所村の「再処理工場」に行ってみた(前編)

2026.08.28

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日本を取りまくエネルギーの今を伝えるべく、Concent編集部きっての好奇心旺盛なCon(コン)ちゃんが突撃取材!今回のテーマは、原子力発電所で使い終わった燃料をもう一度使えるようにする「再処理工場」。2021年にオンライン取材をして以来、気になっていた施設の"今"を確かめるために、現地へと足を運んだ。「そもそも再処理工場ってなんで必要なんだっけ?」と改めて思ったConちゃんが話を聞いてきた!

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Conちゃん、六ヶ所再処理工場の今を知る!

青森県六ヶ所村。Conちゃんは2021年、再処理工場の運営・建設を担っている日本原燃をオンラインで取材し、工場や再処理について教えてもらったことがある。あれから5年の月日が経ち、「そういえば、工事を進めていた工場は、あの後どうなったんだろう?」と思い出した。

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5年前にオンラインで話を聞いたときは、2020年に国の安全審査に合格していて、建物の工事が進められていたところだった。長い時間をかけて進められてきた巨大プロジェクト。今はどんな状況で、そもそもなぜ必要なのかを確認するため、改めて現地に向かったのだ。

とはいうものの、「ものすごく難しい話になりそう……」と感じたConちゃんは、日本のエネルギー政策に詳しい澤田哲生さんにも話を聞きながら、再処理工場などをめぐることにした。

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最初に訪れたのは、「六ケ所原燃PRセンター」。日本原燃が建設工事を進めている再処理工場やすでに運転しているウラン濃縮工場低レベル放射性廃棄物のピット処分などのほか、原子力発電放射線の仕組みなどを模型やパネル、映像でわかりやすく解説してくれる施設だ。

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「今は万が一の災害などに備え、各施設の安全性を向上するための工事をしながら、工事完了(しゅん工)に向けて、安全に関する審査をする国への説明と建物の検査を同時に進めているの。2021年に取材してもらったあとは、2022年12月に1回目の『設計・工事計画認可(設工認)』という国の安全基準を満たしているかを確認する審査が完了して、2026年6月に2回目の審査の説明が一通り終わったところだね。1回目は冷却塔など一部設備や建物について、2回目は残りの主要施設について審査しているんだよ」

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「これからは、これまでの審査の結果をまとめ、国から、設備を安全に運転・管理するためのルール(保安規定)について、この内容でいいよと認めてもらえるように準備しているんだよ。そして、国に認めてもらった工事が計画通り進んでいるか確認するの。長い時間はかかったけれど、しゅん工に向けて、一つひとつ着実に進めているよ」

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澤田「日本は資源に乏しく、エネルギー自給率がとても低い国。こうした中、今後はAIの普及に伴うデータセンターの増加などを背景に、電力需要が増えていくと見込まれているんだ。加えて、最近の中東情勢や、ロシアによるウクライナ侵攻など、地政学リスクが高まることでエネルギーの確保が難しくなったり、価格が上がったりするリスクがあるよね。大量の電気を安定的に発電できて、エネルギーに関するリスクが小さい原子力発電と原子燃料サイクルの実現は、経済成長、エネルギー安全保障の観点から重要性を増しているんだよ」

 

Conちゃん、原子燃料サイクルの必要性に気づく!

建物はすべて完成し、施設の安全性を高めるための工事と、残る審査や検査もしっかり進めている。完成が近づいている再処理工場に感心したConちゃん。でも、たしか5年前にも聞いた気がするけれど……「原子燃料サイクル」、もう少し詳しく知りたい!

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「原子燃料サイクルは、使い終わった燃料から、まだ使える部分を新たな燃料として作りなおして、もう一度発電するという考え方だよ。大きな流れとしては、使用済の燃料を資源として扱って、『原子力発電所▶再処理工場▶MOX燃料工場、ウラン濃縮・燃料加工工場▶原子力発電所』の順に再利用(リサイクル)していくんだよ」

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「六ヶ所村には、使用済の燃料を受け入れて水中で安全に保管・冷却するプールや、回収したウランとプルトニウムを燃料に加工する工場など、原子燃料サイクルに関わる多くの施設が集まっているんだよ。このうち、『低レベル放射性廃棄物埋設センター』は1990年から、『ウラン濃縮工場』は1992年から、再処理工場内の『使用済燃料受入れ・貯蔵施設』は1999年から、すでに動いているんだ。その中で核となるのが再処理工場で、この再処理工場とMOX燃料工場が完成すれば、国内で原子燃料サイクルを実現できることになるんだよ」

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「使用済燃料を再処理して回収したウランとプルトニウムは、工場で『MOX燃料』に加工されたあと、原子力発電所で普段使われているウラン燃料と同じ形・大きさに整えて発電所に運ばれるんだ。発電所での取り扱いや安全性への考え方はウラン燃料とほぼ同じ。こうしてMOX燃料を原子力発電所で利用することを『プルサーマル』と呼んでいて、1990年代から海外でもたくさん実績があるし、すでに国内でも導入されていて安全が確認されている技術なんだよ」

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澤田「ウランって、ものすごいエネルギーを秘めているんだけど、一度の発電ではほんの一部しか活用できていなくて、使用済燃料にも大きなエネルギーが残っているんだ。燃料用ウランは100%が輸入品だから、使い終わったらまた輸入しなければならない。でも、原子燃料サイクルが実現すれば、いま国内にあるウラン資源をより長く使うことができる。これは『ウランの長寿命化』と呼ばれていて、日本のエネルギーを長期的に安定させられる可能性があるんだよ。それに、将来的には研究開発が進められている『高速炉』などの新しい発電技術が実用化されれば、さらなる効果を生む。まだまだ使える部分が残っている使用済燃料を最大限活用することが、大きなメリットになるんだ」

 

Conちゃん、原子燃料サイクルの現在に惜しさを感じる!

原子燃料サイクルを実現させることの意味に改めて驚いたConちゃん。たしかに、家にある家電をはじめ、スマートフォンにスマートウォッチ、AIや電気自動車など、暮らしに必要なあらゆるものが電気で動く現代で、これからの時代も考えれば安定して電気を作り、届けることは大切なことだ。

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澤田「ほとんどのエネルギー資源を輸入に頼っている日本は、いくらかの備蓄はあったとしても輸入ルートがとだえてしまうと八方ふさがりになってしまうんだ。オフィスをはじめ、工場や飲食店だって、あらゆる場面で電気をたくさん使っているでしょ?電力に限れば、日本は約7割をLNGや石炭など化石燃料を燃やす火力発電でまかなっているけれど、火力発電の燃料は一度燃やしてしまうと消費されてしまうから新しい燃料を入れ続けなければいけない。この燃料の輸入がもしも止まったら……どうかな?日本経済やみんなの生活に大きな影響が出る可能性があるよね」

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澤田「もちろん二酸化炭素(CO2)の排出量削減など、環境面で考えなければならないことはあるけれど、火力発電は今の日本の主力電源として非常に重要なんだ。だけど、国際情勢に影響を受けやすいことを考えると、原子力発電はいま発電所で使っている燃料を数年にわたって使えるし、備蓄していれば少なくともさらに数年はもつ。さらに原子燃料サイクルが実現すれば、より長い期間発電することもできるよね。原子力発電は、巨大な発電力が注目されがちだけど、『エネルギーの備蓄装置』としても機能するんだよ。当然、安全性の確保は大前提になるけれど、経済成長とエネルギーの安全保障の面から見ると、資源小国の日本にとっては、原子力発電は非常に有効なツールになるんだ」

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澤田「安定した電力供給を将来にわたって維持していくための費用と捉えてもらうとわかりやすいかな。原子燃料サイクルが実現し、ウラン資源を有効に活用できるようになれば、化石燃料への依存度を下げることにつながるよね。資源のほとんどを輸入に頼っている日本にとって、資源を有効活用できるようになれば、電気料金にもいい影響が出るんじゃないかな。それほどに、原子燃料サイクルは単なる技術の話ではなく、国としてどう生き抜いていくかという国家戦略に関わる、大きな意味を持っているんだよ」

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再処理工場の今を聞きに行ったら、日本にとって原子燃料サイクルがいかに大切で必要なことかを知り、重く受け止めたConちゃん。資源が乏しい日本にとって、「再処理工場の完成」が持つ意味の大きさを実感した。後編では、いよいよ工場内に入り、その姿と徹底した安全対策工事の今を見に行きます!


取材協力:澤田哲生

エネルギーサイエンティスト。1957年、兵庫県生まれ。京都大学 理学部物理学科卒業後、三菱総合研究所に入社。ドイツ・カールスルーエ研究所客員研究員を経て、東京工業大学(現・東京科学大学) 先導原子力研究所助教(2022年3月定年)。現在は工学院大学非常勤講師。専門は原子核工学・原子力安全。2010年度より高レベル放射性廃棄物処分をめぐる「中学生サミット」を毎年開催。著書は『やってはいけない原発ゼロ』(エネルギーフォーラム)ほか。

取材協力:日本原燃株式会社

青森県六ヶ所村に本社を構え、原子燃料サイクルの中核を担う。日本のエネルギーの安定供給を目指して、ウランの濃縮、使用済燃料の再処理、MOX燃料の製造などの5事業を展開している。社員の6割以上が青森県出身者。略称はJNFL。

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日本原燃マスコット「ツカエルくん」

★さらに「原子燃料サイクル」について知りたい方はこちら!
「核燃料サイクルの今」(経済産業省 資源エネルギー庁 エネこれ)