
日本を取りまくエネルギーの今を伝えるべく、Concent編集部きっての好奇心旺盛なCon(コン)ちゃんが突撃取材!今回のテーマは、前回に引き続き「再処理工場」。青森県六ヶ所村にある再処理工場と六ケ所原燃PRセンターをめぐりながら、再処理の仕組みと徹底した安全対策、そして工場完成に向けたこれからについて聞いた!
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>エネルギーのリサイクル工場って今どうなってる?青森県六ヶ所村の「再処理工場」に行ってみた(前編)
Conちゃん、再処理の仕組みを学ぶ!
安全対策工事と審査を進め、早期のしゅん工を目指す六ヶ所村の再処理工場。前編では、六ケ所原燃PRセンターをめぐりながら、原子力発電所で出た使用済燃料をリサイクルして、もう一度発電に使う仕組み「原子燃料サイクル」の全体像をはじめ、その核となる再処理工場がこれからの日本のエネルギー安全保障や経済安全保障にとってどれだけ重要なのかを教えてもらった。
後編では、いよいよ工場の中にも入れることに。「再処理って具体的にどうやるの?」、そして「安全性は本当に大丈夫?」という素朴な疑問を、前編に続いてエネルギー政策の専門家・澤田哲生さんと六ケ所げんねん企画の舘桃花(たて ももか)さんにぶつけてみた。



舘「具体的には、『①せん断→②溶解→③分離→④精製→⑤脱硝(だっしょう)→⑥貯蔵』の6つの工程が再処理と呼ばれる部分だよ。使用済燃料貯蔵プールで冷却した燃料を、【①せん断】細かく切って、【②溶解】再利用できるウラン・プルトニウムを取り出しやすくするために硝酸(しょうさん)で溶かして液体にし、【③分離】溶かした燃料を油性の液体に接触させ、油と水が分かれる性質を利用してウラン・プルトニウムと再利用できない廃棄物に分ける。その後、【④精製】廃棄物をさらに取り除いて、【⑤脱硝】硝酸を取り除いて粉末にし、【⑥貯蔵】容器に入れて保管するんだよ」

舘「再処理の過程で出る放射性廃棄物のうち、燃料を覆っていたカバーなどは容器に入れて工場内の保管庫で安全に保管しているよ。ウランとプルトニウムを取り出したあとに残る『高レベル放射性廃液』は、再処理工場の中でガラスと混ぜ固めて『ガラス固化体』というものにして、専用の建屋で適切に貯蔵管理していくんだ。参考までに、使用済燃料のうち、約3~5%が放射性廃棄物になるよ」

澤田「原子燃料サイクルには、前編で話したエネルギー安全保障上のメリットのほかに、2つの大事な観点があるんだ。一つは『減容化』といって、再処理することで最終的に処分する廃棄物の体積を小さくできること。これは処分する量を減らすことになるね。もう一つは『有害度低減』で、再処理を行う場合と行わない場合で廃棄物が持つ放射能の影響が小さくなるまでの期間を短くできること。これは廃棄物を管理する時間を短くすることになるね。つまり最終的に処分するものの量や管理時間を減らして、将来への負担を減らすことにつながるんだ」

出典:資源エネルギー庁 資料「核燃料サイクルの実効性向上に向けた今後の取組について」(2025年12月発表)より
澤田「ガラス固化体は、いわゆる『高レベル放射性廃棄物』と呼ばれるもの。強い放射線を放つガラス固化体は慎重に処分する必要があるから、いずれ地下深くに埋める『地層処分』という形で最終的な処分が行われる計画なんだ。地層処分をする場所の選定は、調査が複数の地域で進められていて、2026年5月に新しく東京都・南鳥島で調査が開始されたね。最終処分そのものの議論も前進しているんだよ」
>詳しくは、「『原子力発電のごみの最終処分』って何? 専門家に突撃インタビュー!(前編)」
Conちゃん、徹底した安全対策の意味に驚く!

再処理が資源の有効活用と廃棄物処理の負担を小さくすることの起点になると考えれば、聞けば聞くほど「原子燃料サイクルは早く実現させた方がいいのでは?」と思えてくる。けれど、やっぱり大きく心配なことが一つある。


舘「福島の事故の教訓を踏まえ、従来の基準が強化され、さらに重大事故を想定した対策や火山・竜巻・森林火災の対策などが新設された新規制基準に基づいた安全対策に取り組んでいるよ。例えば竜巻対策では、日本で発生した過去最大規模の竜巻(風速92メートル/秒)をさらに上回る風速100メートル/秒を想定して、竜巻による飛来物から冷却塔を守るため、鋼鉄製の防護ネットを三重にして設置しているよ。同じく主排気筒も竜巻による飛来物から配管などを守るために、鋼鉄製の防護板を設置しているんだ。念には念を入れて安全対策に取り組んでいて、これまで長い時間がかかってきた主な理由は、安全にかかる審査や安全対策工事に時間をかけてきたためなんだ。福島の事故の教訓を踏まえて、安全性を世界最高水準に高めることを最優先にしているんだよ」

冷却塔に設置した、三重の鋼鉄製防護ネット

建物や施設を飛来物から守る防護板

万が一建物から放射性物質を放出してしまう事態が発生しても、その拡散を水で抑える放水砲。約50メートルの高さまで水を噴射!

土砂などをすくい上げるホイールローダー。緊急時に構内のがれきを撤去して道を拓く!

複数ルートの送電線や非常用ディーゼル発電機の設置などに加えて電源車を配備し、電源を多重化!


對馬「前提として、再処理で放出される放射性物質のほとんどは再処理工場の機械で取り除くことができるんだ。ただ、それでも除去できないものがあるから、主排気筒などを通して放出量を管理しながら大気や海に放出することにしているんだ。もちろん、安全対策は徹底しているよ。1年間フル稼働した際の放出量での線量は約0.022ミリシーベルトと評価していて、空気中や大地など自然界からの放射線(年間約3ミリシーベルト)にも満たない水準なんだ。でも万が一のことも考えて、施設周辺では、建設工事開始(1993年)前の1989年から24時間体制で大気中の放射線量などの測定を続けているんだよ」


對馬「さらに、同じく1989年から継続して、地元でとれたヒラメやウニ、お米や白菜などの食べ物の放射能量の測定を行っているの。海産物や農産物、畜産物からの測定検体数は年間1000以上もあるんだよ。個別に測定した結果を社外の委員会に評価してもらっていて、再処理工場から放出される放射性物質による影響は、線量限度を十分に下回っていると評価されているよ」



澤田「工事に時間がかかると、どうしてもネガティブな話題と受け止められがちだけど、すごく高いレベルの安全対策に時間をかけることは、将来にわたり安心して施設を運転していくための前向きな投資と捉えるといいんじゃないかな。環境影響の分析や農畜海産物のモニタリングも、施設の周辺で継続的にデータを蓄積し、地域に異常がないことを確認し続けるというもの。地道だけれど、安全性の確保においては欠かせない取り組みだね」
Conちゃん、原子燃料サイクルの実現に期待する!
資源が乏しい日本にとって、大事なエネルギー資源を確保することはとっても大事なことなのは誰でもわかるはず。でも長年工事を続けてきているのに、Conちゃんの身の回りでは「再処理工場」や「原子燃料サイクル」なんて言葉、耳にしたことがない。


澤田「原子燃料サイクルは、日本のエネルギー安全保障を支える重要な仕組みだけど、とにかく専門的でイメージしづらいから、一般の人からすれば関心が低いのは当然だと思うんだ。でも、使えるものを再利用して使っていくというのは、まさに日本の『もったいない』の考え方だと思わない?中高生にこうした話をすると、『どうしてこんな大事なことを教えてくれなかったんですか!?』って言われたこともあるくらい、聞いた人は大事なんだって感じる話題なんだ。学生も数年経てば大人。やがて自分たちが向き合わなければならない課題だと気付くようだよ。日本の置かれた状況を理解して、経済や自分たちの暮らしのためにどんなエネルギー資源を使うか、どういう発電の仕組みを利用するかというのは、日本で電気を使うすべての人が考えなくてはならないことだからね」

澤田「再処理工場とMOX燃料工場が完成すると、原子燃料サイクルを回すためのすべての設備が日本にはそろうことになるんだ。これって、世界的に見ると、日本が持つ『特権』みたいなものと言えるよ。それに、世界情勢に関わらず、繰り返し使えて発電能力も大きい電源を得られると、最終的には私たちの日々の暮らしも安定することになる。非常に心強いことじゃないかな。資源が乏しい日本のような島国にとって、原子燃料サイクルを進めることは、国際的に見ても理にかなった選択。これからエネルギーを使っていく若い世代にこそ、この仕組みの意味を理解してほしいし、日本人が世界に広めた『もったいない』の精神をエネルギーの場面でも生かすことができることを知ってほしい。資源リサイクルという視点を持つことが、これからの時代の暮らしを考えるきっかけになるはずだよ」

舘「再処理工場のしゅん工は、原子燃料サイクルの実現に向けて、とっても大きな一歩になるはず。世界トップレベ ルの安全性を有する施設を造りあげていくため、全社一丸となって、また、電力各社の力も得ながらオールジャパン体制で進めているよ。引き続き安全性を最優先にしながら、一日も早いしゅん工を目指して、今も多くの人が現場で工事や準備を進めているんだ。それに、私たちの事業は、地域の皆さんの信頼があって成り立つもの。長年にわたって支えてもらっている地域への感謝の気持ちを忘れることなく、これからもともに歩んで、地域の発展に貢献していきたいと思うよ」

再処理工場が、そして原子燃料サイクルが日本のエネルギーの未来を支える大切な存在だと知ったConちゃん。安全対策を徹底して積み重ねながら、しゅん工に向けて着実に歩みを進める様子に、工場が動き出すその日を待ち遠しく感じるConちゃんでした!
取材協力:澤田哲生
エネルギーサイエンティスト。1957年、兵庫県生まれ。京都大学 理学部物理学科卒業後、三菱総合研究所に入社。ドイツ・カールスルーエ研究所客員研究員を経て、東京工業大学(現・東京科学大学) 先導原子力研究所助教(2022年3月定年)。現在は工学院大学非常勤講師。専門は原子核工学・原子力安全。2010年度より高レベル放射性廃棄物処分をめぐる「中学生サミット」を毎年開催。著書は『やってはいけない原発ゼロ』(エネルギーフォーラム)ほか。
取材協力:日本原燃株式会社
青森県六ヶ所村に本社を構え、原子燃料サイクルの中核を担う。日本のエネルギーの安定供給を目指して、ウランの濃縮、使用済燃料の再処理、MOX燃料の製造などの5事業を展開している。社員の6割以上が青森県出身者。略称はJNFL。

日本原燃マスコット「ツカエルくん」
★さらに「原子燃料サイクル」について知りたい方はこちら!
「核燃料サイクルの今」(経済産業省 資源エネルギー庁 エネこれ)